Roots

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先週日曜日、年間を通してお手伝いしていた
「唐津伝統文化コーディネーター養成講座」が終了。
スローフードの元日本担当官の石田雅芳さんの話は申し分のない
興味深い内容で、唐津でもこうしたスローフードの取り組みを
そろそろ始めて良いのではと再認識したところだった。

石田さんとはお会いするのがこれで2回目だけど、
お仕事の内容や考え方についてゆっくり話をするのは初めてで、
送迎の道中での会話はとても楽しかった。

石田さんはイタリアで長年仕事をしていたキャリアを持ち、
いまではあらゆる分野においてイタリア・ヨーロッパと日本を繋ぐ
架け橋(コーディネーター)となっている。

そんなグローバルな世界で仕事をしている石田さんとの会話の中で
特に印象に残ったのが、「これからの働き方」。

これだけ電子メディア・グローバル化が加速する中で、
これまでの「定時に決まった会社に通勤する」という常識は
変わっていくだろうと。

パソコンがあれば在宅でも仕事ができるし、スカイプがあれば
会社に出向かなくても会議ができる。
極端なことを言えば、違う都市にいても、世界にいても仕事はできる。

そして、そのグローバル化社会の中で必要なのは
「思考」を売るという発想。
社会や地域にとって課題を解決するための仕組みやシステム、
イメージを創造し、それを商品として売っていくという。
とても感銘を受ける言葉だった。

物を売る時代から、思考を売る時代へ。
もう東京一極の時代ではない。
地方がいかにオリジナリティーを身につけ、
独自のライフスタイルや文化を創造し、
そのノウハウを蓄積していくか。

そう考えるとワクワクする。

イタリア、マナローラの海岸

イタリア、マナローラの海岸

150925

最近忙しくてなかなか手についていない読書。
未読の本が棚に山積している・・・

ようやく読み終えたリノベーションまちづくりの本。
ここ数年ずっと、リノベーションまちづくりという考え方は
私のまちづくりの中心にある。

人口減少の中で果たして新しい箱ものはまちに必要なのか?
目先の経済・国からの指示によって、個性あるまちが画一化していないか?

経済スケールが小さくなることをマイナスに捉えるのか、
はたまた、成熟社会の中でより豊かさを見いだせるチャンスととるか。
若い世代の感性を思う存分に発揮できる環境だと可能性を感じられるか・・・

そうした社会問題を解決する概念がリノベーション(イノベーション)だと
感じていて、既に実践している先人達も出てきている。

嶋田さんはその1人であり、子育て世代として同じ悩みを感じ、
実践し、リノベーションを生業として全国各地を飛び回っている。
関わる地方で、責任を負い、役職を担い、自腹を切ってまちに関わる。

まちへの関わり方、アプローチの仕方がとても参考になった。
とても身近に、わかりやすくまとめられているから、
いろんな人に紹介しよう。

独立してから幸いなことに、地域活性化ブームの到来ということもあり、
ホームページをご覧いただいて、採用や仕事の問合せをたくさんいただきます。
そのほとんどが関東・関西在住の方で、地域活性化に関心のある
クリエイター、ライター、学生、地域の方です。

地域に関心を持っていただくことは本当に嬉しいし、
同じ想い・価値観を持っている人であれば是非とも一緒に
プロジェクトをしたい。いつもそう思ってます。

私はお問い合わせを頂いたとき、九州に来ていただくことを
条件にしています。それはもちろん私が九州で仕事をしているからであって、
ホームページをご覧になって興味を持っていただいたのは、
私の仕事かもしれないし、お手伝いする地域=九州かもしれない。

その興味の度合いを調べている訳ではないけど、お問い合わせ頂いている以上、
私としては九州の仕事に関心を持っていると勝手に解釈し、
まずは「ご興味があるのであれば、まずは九州に来てください」
そう回答するようにしています。

というのも、1年目のときには、お問い合わせいただくことが
本当に嬉しくて、ささいな質問も、見積もりの問合せも、自分なりに
丁寧に回答していました。でも、ほとんど回答はありませんでした。
見積もり・回答を考えるのに、やっぱり最低でも半日はかかります。
どんな人がどんな想いでメールしてくれたんだろうかと当時は想いを
馳せて対応していましたが、ほとんど回答がないということは、
こちらとは違う温度差で、軽い気持ちでお問い合わせ頂いたんだと思うんです。

2年目、3年目となると、私もそれなりに対応を考えていかないと思うようになって、
「まずは九州に来て、お話ししませんか?」とご回答させていただくことにしています。
まぁほとんどは返信ありません。でも、これまで京都のデザイナー、千葉で地域づくりの
勉強をしている学生さんが、自腹で会いにきてくれました。
本当に嬉しかった。本気だなと思いました。

私は地域づくりのフィールドに関わって、まだ15年くらいですが、
その中でたくさんの失敗と学びを得ました。

故郷の大阪に帰って就職も考えましたが、なぜ九州を選んだかということ、
そこにはやっぱり「人」の存在があったからです。
たくさんの方々に可愛がってもらったし、自分のことを必要としてくれている人がいる。

自分が一所懸命にしたことが、地方の人たちは「ありがとう!」ってリアルに
返してくれる。いま、Rootsという仕事の原点をつくってくれた場所は福岡であり、
唐津であり、九州なんです。だから、自分ができる精一杯を九州で尽くしたいし、
その先に故郷や他の地域とのご縁が生まれると思ってます。
そんな地域に出会えたことが運命だし、お問い合わせ頂いた方々にも是非とも
そういったご縁が生まれて欲しいですね。

いまもお問い合わせ頂くけど返信がない人、
関わっている地域で血気盛んに「地域を盛り上げようと」頑張ろうとしながらも
数年で挫折する人たちをたくさんみています。
決してミーハーな気分では関われないし、1つずつ課題を解決していくので、
それなりに結果が出るまでは時間がかかるのは当たり前です。
その長く、いわば地味な道のりを一緒に伴走できるか、それに尽きる気がします。

私自身もいつそうなるかわかりませんが、自分と近い立場のプランナー、クリエイターの
立場で、「地域づくりに関わりたい」そう思っている方々と、
その世界への窓口になりたい。

一緒にお仕事したい、地域と関わり続けられる人っていうのは、
地域づくりの分野には限らない話ですが、
「街のこと、地域づくりのことが好きか?」
「自分本位ではなく、地域の課題と向き合って辛抱強くできる人か?」

私はこの2点を最も大切にしています。
自戒の念を込めながら、また1週間が始まります。

sasebo_workshop

私の仕事の大半は九州の地域のお仕事なので、
東京に出張することは年に数回。
そのうえ、上京しても打合せや現場がほとんどなので、
ゆっくり観光なんて時間はほとんどとれない。

でも、時間があったら寄ろうと決めているお店がいくつかある。
その中の1つが、蔵前にある文房具屋さん「カキモリ」だ。
先日の出張では半日ほど時間がつくれたので運良く寄ることができた。

企画の仕事をしているので、ノートやペンはいわば商売道具。
これまであらゆるものを試しては、自分に合ったもの、合わないものを
試行錯誤している。

このカキモリは、他の文房具屋さんとは一線を画す。
ノートの表紙・裏表紙、中の紙、留め具、全てを細分化し、
それぞれ好きな素材・色を選ぶことで、世界に1つだけのノートがつくれるのだ。
しかも、箔押までできるから、プレゼントにも大変喜ばれる。

とにかく楽しい。ワクワクする。没頭してしまう。
目の付け所が面白いし、物が溢れて過ぎてしまっているからこそ、
お店としての付加価値が際立っているように思う。
その場でつくってくれるし、「自分だけのもの」という消費者の心をつかみ、
一気にファンが増えていく。

この日もついつい買いすぎてしまった。
決して安くはない。高い。
でも、店内には若いカップルや女性でごった返しているのだ。
決して価格だけが若い人を惹き付けるのではないことを
このお店は証明してくれる。

お店に飾っているポスターもセンスが良いし、
お店独自で蔵前エリアのマップもつくってる。
買ったお客さんはそのマップを手に取って街に繰り出すから、
まちとの相乗効果も生まれている。

東京の友人に話したら、「蔵前ってどこや」と言われた。
東京の中でもローカルなのだ。
でも、そのお店をめがけて人がわざわざやって来る。

この商品を切り取るセンスと付加価値のつくり方は、
地方の商店街にとって大切なヒントが隠されている。

ちなみに、カキモリでつくったノートは大切にしすぎて、
まだ仕事では使えてないんですが。。。

kakimori

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同姓同名の佐藤尚之さんの著書「明日のプランニング」読了。
まさしく「目から鱗」でした。

仕事柄、地域の資源を掘り起こし、磨き上げ、発信し、集客するという
一連のサイクルに関わっていて、冊子やホームページ作ったり、
広告宣伝したりするんですが、ある程度の反響はあっても、
どうも「実感がないなぁ」としっくりこないことが多くて。。。

さとなおさんがしつこく書いていた「情報“砂一”時代」は、
はっとさせられる現実です。そうなんだよな、もう情報が溢れすぎてしまって、
見られる確率なんてほとんどない。人目に触れても、関心がなければ無視される。

その現実をきちんと受け止めた上で、
マスベースとファンベースにきちんと分けてプランニングする重要性は
ぐっと心を掴まれました。

こんなに情報に溢れる時代だからこそ、身近にいる「ファン」を大切にする。
そのファン達から「生きた言葉」で伝わっていく。
そうすれば、時代に流されない、きちんとした価値を提供できる。
商売の原点であり、地方の本質的なことだと私は感じました。

現在お手伝いしている商店街や酒蔵のお仕事の「根っこ」を気づかせてくれました。
特に最後の「ファンベース」のプランニングのあり方は、是非とも商店街や
酒蔵の人たちにも読んでほしいし、共有したいなと思ってます。

さとなおさん、ありがとうございます。

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