Roots

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先日の九大でのセミナーの時に、名誉教授からの問い。
「現在、いろんな分野で総合的な視野を持ち、横断的に調整するプロデューサーが
 求められている。プロデューサーになるために必要なことはなんでしょうか?」

まだ経験も知識もない若輩者だけど、学生たちへのメッセージということで
その時に思ったことを話したつもりだったけど、なんか自分の中で言いたいことを言えてないなあと
ずっと引っかかっていて、ふと自分なりの答えが先ほど浮かび上がってきた。

◎考えを寝かせる時間をつくる。
この時間を意図的につくっている。私にとってそれは朝のランニングであり、
出張先へのドライブの時間がそれにあたる。
どんな仕事であれ〆切は存在する。その〆切から逆算して、まずは余裕を持って
課題の設定、事業の方向性を考える。ある程度しっくりきたら書き起こしてとりあえず寝かせる。
その間は敢えて机に座って向き合わない。ふとしたときに、軽い気持ちで考えを巡らす。
それがランニングやドライブの時であり、新たな発想が浮かんで来る。

また、客観的な意見を大事にする。仕事で付き合うブレインに、意見を求めてみる。
そうすると、又違った意見が生まれて来る。
そうやって、自分の視点が広がって狭まって、最終的にはしっくりと自分の中に落ちて来る。

振り返る時間、聞く力、これが意外とプロデューサーには大切だと思ってます。

◎自分で体験してみる。
いろんな視点を持って、いろんな専門家の力を最大限に引き出して事業を導くためには、
やはりその分野での現場経験がないとできない。
そういう意味ではたくさんの経験をさせてもらって、たくさんの失敗をした。
その失敗は自分で考えてやったことだからこそ実になって返って来る。
若い時の苦労は買ってでもした方が良いことは年を重ねる毎に身にしみてわかる。

その授業の時には、「アンテナを貼ることが大事」と言ったけど、ちょっと言葉足らずだった。
正確には、「考えを寝かせる時間をつくる」ことで手を動かす時間をできるだけ少なくし、
効率的に仕事をすることが大切な上、地域ごとに課題や状況が異なるいまの時代には、
その多様性に対応するだけの知識、というよりは経験を自分でしていないことには説得力に欠ける。

だから観光の仕事をしていたら、自腹でいろんな町に旅行に行って、その費用対効果や売れているもの、
人を惹き付けるものをつぶさに観察しておかないと引き出しが増えて行かない。
その「自己投資」がないことには、自分の言葉で説明もできない。

日本酒の仕事であれば、実際の食卓で、どういった料理に合うのか、日本酒だけで成り立つのか、
食中酒に合うのかを肌で感じないことには、その分野の仕事はできない。
焼物の仕事であれば、上に同じく、どのシーンで、どういった使い方が楽しいのか、価値があるのか、
魅力が伝わるのかを、1ユーザーとして体験する。

仕事がどれだけ忙しくても、意図的にそういった「体験する、実感する」時間をつくるということが大切。
私の仕事の最大の魅力は、公私の境がないということだろう。
まちを見て歩くことが好きだから、まちづくりや観光の仕事が生きて来る。
美味しいものを食卓で味わう時間をつくることから、1ユーザーとしての感覚を失わずに提案ができる。

もう一歩踏み込んだ専門的なことはその道のプロフェッショナルに任せれば良い。
私の仕事は、いかにその可能性を、違う視点を、企画段階で作り出すことができるかが本質的なこと。
そのためには、放電する機会がいつ来ても良いように、意図的に充電できるかなんだと思う。

質問してくれた先生に、もう少し考えたことを伝えたい。
四六時中考えることが好きなんでしょうね、この商売は。

Copenhagen,2007

Copenhagen,2007

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新年度になって、嬉しいことにいろんなお仕事のご相談をいただいてます。
ご相談というのは、まだ正式な仕事にはなっていないけど、
ゆくゆくそうなりそうだという段階です。

関係者の熱意で根気強く進めてきたことがようやく芽を出してきたもの。
地域の資源を活かして活性化に繋げたいという新たな試み。

同じ目標を掲げても、そこに辿り着くアプローチの方法や地域の熱意、
利害関係者の関係性は案件によってそれぞれ異なります。
地域の数だけやり方があるということです。

地域に応じてどんなアプローチを準備するか。
私のような立場には、その提案力が求められてきます。
いや正確には、求められるようにならないといけないんです。
そうなるためには、たくさんの引き出しと一貫した考え方を
持っておくことが必要だと常々思ってます。

仕事が来て、スタートしたら、企画に沿って進むだけです。
いわば、事業のマネージメントが主な業務になってくる。
だから、進める前にきちんと本質を理解して、最適なアプローチを
考えること・考える時間をつくることを大切にして行きたい。

週末は、その時間をつくるに最適な時間。
今日はご相談頂いたことを引っ張りだして、
新たな想いを馳せてみる。
走ったり、映画観たり、食事したり、美術館行ったりしながら
新たな感性を加えてみる。

良きご縁となりますように。

先日、保育園の発表があった。
結果、第1次募集では5希望全滅、
第2次募集では3希望全滅・・・

この半年間、この保育園問題に振り回された。
かみさんは、距離的に送迎がぎりぎり可能な範囲の中で、
認可・無認可あらゆる保育園を訪ねて調べてくれた。
その結果を踏まえ、家族で会議を重ね、出した希望に対して
全て落選するという結末。

かみさんはこの4月で復職しないといけない。
僕らの近くには、子供を見てくれる両親もいない。
当然、保育園に預ける「優先度の高い」家庭だと思っていた。
でも、結果はこうだ。

市長は待機児童ゼロだとパフォーマンスする。
周囲には、緊急性がさほど高くない友達の家庭が合格している。

憤りを隠せない。第1次募集でも、第2次募集でも、
市役所に異議申し立てに出向いた。審査基準の曖昧さ、
自宅自営業という不利なバイアス。
第2次募集で私達の得点は少しは改善したけども、結果的に落ちた。

市役所の人曰く、福岡市の中央区は去年に比べて、
待機児童が3倍近くにふくれあがっているという。
でも、結果として入れていない。
果たしてこの1年、市役所は中央区でどんな子育て政策をしてきたのか。
そんな突っ込みをうまくすり抜けて、市役所の人たちは言う。
「とりあえず、3次で空いているとこに入ってみんですか。」

2次に落ちて、僕たち家族のありったけの文句を言い放って、
夜にかみさんとゆっくり話をした。

自分たちの働き方のために子供が振り回されるって果たしてどうなの?
そこまでして高い得点をとって預けたいのか?
保育園のためだけに、自分たちの生活環境を変えるのもどうなのか?

こんな環境では、子供を産みたいと思わないのは無理はない。
上っ面の「少子化をなんとかしましょう」とか言うのも、
その立場になってみると、あまりに政策と現実の乖離がある事を痛感する。
この国が、福岡市が、「自分たちのスタイルで、働きながら、子供を育てる」
にはあまりに不向きな現実に唖然とする。

奇麗ごとだよ、全ては。そう吐き捨てたい現実。
でも、悲観ばかりしていても何も生まれない。
子供にとって、私達にとって、何も明るい未来は生まれない。

そこでふと行き着いた答え。
「別に福岡の都会に固執することはないんじゃないか」

そう思うと、なんだか心が軽くなった。
環境も働き方も子育ても、等身大で楽しめる居場所。
それは都会ではなく、地方にあるんじゃないかと。

地方の仕事をしている僕に、明るい未来が見えた。
この1年をかけて、暮らす場所を再構築しようと考えている。

移住の仕事をしながら、いっそのこと自分たちもそこに住む。
地方の仕事がますます楽しみになる。

Portland,America

Portland,America

一年が終わる。
そして、来週には一歳年を重ねる。
個人的にも世間的にも新たな一年がほぼ同じ時期というのは、
とってもわかりやすくて有難い。

いよいよ36歳。30代は、いろんな出会いがあって、
仕事のご縁がどんどん広がって、生きてきた中で一番楽しい。

先日名古屋で講演させていただいたGoodJob!セミナーも、
自分の仕事を振り返り、そして新たな感性が芽生えた大切な機会だった。
(Good Job セミナーのホームページはこちら → Good Job!

30代後半は、まだまだがむしゃらに駆け抜けながらも、
40代に向けてしっかりと仕事の軸を固めていきたい。
そして、ご縁をじっくりと熟成していける濃いお付き合いをしていく。

年末年始は、新たな一年を駆け抜けるための大切な充電期間。
今年一年、健康で過ごせたこと、様々なご縁をいただいたことにまずは感謝。
残りわずか、来年の目標をイメージしながらラストスパートだ。

2010暮れ、ニューヨークの夜景

2010暮れ、ニューヨークの夜景

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元岩手県知事の増田さんが書いた「地方消滅」を読んだ。

なんとなくは意識していたけど、ここまで具体的な数字で
人口減少の推移を見るとぞっとしてしまう。

既に人口減少の急激な波を受けている地域も少なくない。
そして、若者は仕事を求めて東京に集中し、仕事のキャリアアップや
機会を求めていくにつれて女性の結婚率は下がり、少子化に拍車がかかる。
東京だけに人口が一極集中し、東京に超高齢化社会が到来する。
増田さんのいう、「極点社会」のイメージだ。

私も結婚して子供が生まれてから、女性の子育てや働く環境にようやく
目がいくようになったが、その環境は決して充実したものとは言えない。
預けて働くにしても希望に叶った託児所は整備されていないし、

送り迎えのアクセスや働きやすい環境もまだ整っていない。
まちづくりにもっと子育て世代の声を反映しない限り、
具体的に目に見えた形で出生率は上昇しないだろう。

九州の地方都市でまちづくりの将来像を考える機会がたくさんあるが、
最近では、「若者」「コミュニティ」についての真剣な住民の声が
よく聞こえてくる。

いまの子供達だけではなく、これから生まれてくる子供達の未来も
考えていかなくてはいけない時代になった。
目先のことだけではなく、10年いや30年、50年先のビジョンを
しっかりと見据えなければ、将来を託された若者達のまちは残っていない。
現在まちづくりに関わる人達には、その責任が託されている。

徹底的に子育てしやすいまちを創る。
地方に働き口がなくても、地方の都市部に通えるベットタウンとしての
環境づくりを徹底する。
神山町のように、環境とITを売りにして東京の起業家を引っ張ってくる。
それぞれのまちで、規模や資源、立地に見合った戦略があって良い。
都市と地方の人口交流を活発にし、九州という単位で人口流出に歯止めを
かける広域的な考え方も面白いと思う。

この本は、まちづくりに関わる人達が前提条件として理解しておくべき
大切なデータをまとめてくれている。

「地方創生」は、政権が変わろうが変わらまいが、
いますぐに取り組まなければならない課題だ。

身の引き締まる思い。
もっと考えよう、もっと行動しよう。

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