Roots

blog / thinking

「やっぱり企画は手書きに限る」

パソコンでデータをつくるのは、
あくまでも考えや伝える内容が整理できたものを
「清書」するため。

時間がなくてパソコンからつくり始めることも
たまにはあるけど、ないならないで手書きの資料を
そのまま出した方が考えの経緯がわかって良いなぁと。

昨晩の打合せでつくづくそう感じたのでした。
忙しいときこその「原点回帰」、大事ですね。

2012年4月に訪れたイサムノグチ設計のモエレ沼公園(札幌)

2012年4月に訪れたイサムノグチ設計のモエレ沼公園(札幌)

進行中の仕事がいくつかあるが、
まだ表舞台にあがっていない水面下のプロジェクトが沢山ある。

その街について、自身がずっと温めて続けているもの。
憧れだった方との夢のプロジェクト。
ご縁を頂いた街のリニューアルのお仕事。

どれもまだ予算はなく、数人のキーパーソンの方と
事業の戦略を練っている段階だ。

事業の目的や本質を考える。企画書をつくってみる。議論をする。
また考える。企画書を練り直す。人に問いかけてみる。
発見があった。少し前進。

そんなサイクルがここ数年続いている。
まだまだ実になるのは先かもしれない。
体はひとつしかないから早くと焦る気持ちと、
これからの実現に期待が膨らむワクワク感が入り交じる。

HIGH LINEの本を読んで、ロバートとジョシュアに感化された。
芽が出るまでのこの時間が大切なんだと。

焦らずにじっくりと。
ゆっくりゆっくり温めよう。
信じていればきっと、実になって出てくるはずだ。

2011.10  イタリア/マナローラ

2011.10 イタリア/マナローラ

books0915_roots

「街場の憂国会議」に続き、内田樹さんの著書「街場の共同体論」を読了。

「巨人の星」にあったような父の威厳というか権力がいまの家族には
なくなってきていることや母親の「父親兼任」が進んでいるという家族論。
私が育った家庭では、特に父が威張り散らしていた訳でもないし、
料理つくったり皿洗ったり子供と遊んでくれた父の姿が当たり前にあったから、
内田さんがいういまの家族のあり方がすっと入ってきた。
そういう私も父になり、育児や家事を楽しんでいる。

ただ、バブル期をはじめとする日本の経済成長に合わせるように、
家族の消費形態も個別化され、家族自体が崩壊して行くことには危機感を持った。
そして、経済成長が進むに連れて資本主義は加速し、人を見る価値基準が
「年収」になっているという日本社会。。。
楽してお金を稼ぐ方法を学ぶ場が「教育」だとしたらとんでもない間違いだ。

「経済成長」という価値観のもとで世界が動き、コミュニティが崩壊して行く。
そんな日本の将来に警鈴を鳴らし、内田さんは「弱者からのコミュニティの再生」
「師弟関係の再構築」を提案している。

師弟関係の下りは、とっても納得する。
私自身いまこうして独立できたのも、師匠の存在があったからこそだ。
若い頃に師匠に出会えなかったら、きっとなんとなく流された人生を送っていたと思う。
まだ違うフィールドでの師匠に出会えるかもしれないし、
僕よりも一回りも若い20代の子達には師匠と呼べる人を是非とも探してほしい。
探して見つかれば、あとは必死に学んで行けば良いんだもの。

まちづくりを考える上で、とっても大切なことを学べた。
ありがとう、内田さん。

ご興味がある方は是非とも。

high line

2010年の暮れに訪れたニューヨーク。
どの場所もしっかりと記憶に残っているが、
中でも感動したのが鉄道敷を公園として再生したHIGH LINEだ。

そのHIGH LINEの実現までの物語を描いた書籍を偶然にも見つけて即購入。
内容は、ジョシュア・デイヴィットとロバート・ハモンドという2人の
キーパーソンの回顧録でストーリーが展開する。

このHIGH LINEは、貨物輸送のための鉄道で、ビルとビルの合間を繋ぐように
空中に整備されていた。既に貨物輸送のニーズを失った鉄道敷には雑草がはえ、
夜になると犯罪が起こる治安の悪い場所であったことから、
沿線住民や地権者の大半はその鉄道敷の撤去に動きつつあった。

その事業説明会で偶然出会ったデイヴィットとロバートは、このハイラインの
構造や景観が大好きで、なんとか残せないかと意気投合する。
そのたった2人の想いから、このハイラインの公園が誕生したのだ。

ハイラインの魅力を知ってもらうためのキャンペーン活動や住民説明会、
支援者を増やして行くための根回し、啓発活動や建設費、運営費獲得に向けた
資金獲得・・・尋常ではない道のりを、まちづくりや都市再生には全くの素人
であった2人は、10年という歳月をかけて乗り越えた。
その気力と行動力には、多大なる勇気がもらえる。

最初反対多数で進むところは日本と全く変わらないが、
なぜアメリカでできて日本でできないのか。。。
いろいろと理由はあると思うが、私の中で感じたことは、
「判断して動く基準が、組織ではなく個人に帰属している」ということだ。

この都市再生物語の当初は、たった2人しか保存賛成派がいなかった。
しかし、その2人に共感した少数の人達は、力になってくれる専門家や
寄付を出してくれるお金持ちを次々に紹介する。
普通、反対多数の中だと組織的にNOと言えないのが日本だが、
アメリカの場合は共感したのは自分個人であって、「私が賛成したんだから」と
あれこれ手を貸してくれる。俳優のエドワートノートンも賛成してくれ、
建築好きのブラッドピットにも支援の手を求めたそうだ。

アメリカは、寄付をすることが社会的なステータスだと聞いたことがあるけど、
このプロジェクトにおいても、1億、2億と巨額な事業資金を寄付する「個人」が
たくさんいた。

そんな民間の動きに対して、市議会の人達も次々に賛同し、
市役所に対して保存の働きかけを行う。
そしてついに、当初撤去のゴーサインまで出した市役所は、
市長がかわるタイミングで保存に舵を切り、保存と判断したからにはと、
建設資金の拠出もし、デイヴィットとロバートが設立した「Friends of the high line」
の意向に添って設計・工事を進め、公園の管理運営も彼らに任せたのだ。

市民2人の思いつきからプロジェクトは動き出し、
10年という歳月をかけてとうとうHIGH LINEは完成した。

本を読んで、勇気をもらった。
たった1人でもできることはあるし、例え理解者が少なくても道は拓ける。
まちづくりや都市再生にかかわる人には是非とも読んでほしい。

本を読んでから改めて、HIGH LINEに行きたくなった。
(以下の写真は、2010年暮れの様子)

high line001

high line002

high line003

high line004

high line005

最近、「ホームページを拝見しました」ということで、
お問い合わせをいただくことが増えている。

FACEBOOKとも連動していないし、基本は名刺交換させていただいた
方にしかWEBのアドレスは伝えていないはずなのに、
わざわざ探してくれて連絡していただけるのは本当に嬉しい。
気軽なSNSとは違って、わざわざ探して連絡してくれるのだから
その分想いも伝わるし、どのお問合せメールにもしっかりと
想いが込められている。

しかも、「想いに共感しました」との連絡は涙が出るほどに嬉しい。
まちづくりや観光の仕事をしていると、常に「誰のために」「なんのために」
究極は「自分は一体、地域社会にとって何か価値あることをしているのか」と
不安にかられることも少なくない。

最近は、自分のしていることを説明する機会が増えていて、
「わかりやすく」伝えることが求められる。
民間の仕事をしている人にとっては、公共の仕事というものは結果が
見えにくくて非常にわかりにくい側面があるのだろう。
なかなか理解を得られないことも多い。

そんなときについつい「ホームページを見てください」なんて
言いたくなる時があるが、全く門外漢の人に対して直接言葉で理解を
してもらうことも今後重要になってくるんだろう。

私なりに考えるまちづくり。
それは、「一人でも多く、町のことを好きになり、住む人を増やす」
ことなのだ。以前唐津のフリーペーパーRoastを作るときにも考えたように、
10000人ではない100人の琴線に触れ、まちのことが大好きになり、
自発的に、主体的にまちに関わって行く人たちを増やしていくこと。

そのためには、あらゆる手段の中からその土地に合ったアプローチを選択
しなければならない。その実現に向けて重要なのが、地元に住んでいる方々。
私は言って見ればよそ者である。その町をずっと育てていくのは、
そこに住んでいる方々なのだから。
住んでいる人たちが気づかないことは、よそ者の私達が少しきっかけをつくり、
アイデアを提供して行く。当然先行して動かして行くことも必要になる。
でも最終的には、その土地の中で、私がいなくなっても想いを持ってまちを
育んで行く人たちが根付くことが結局はゴールなんだろうなと最近思う。
その人たちがいることが、結局はまちの価値をあげていくことなんだから。

そのためには当然ながらにアウトプットもこだわっていかなくてはならない。
デザイナー、建築家、ミュージシャン、不動産屋、商業者・・・
様々な専門家を多様に巻き込んでいくことで、話題も自然と広がって行く。
想いを共感し、協力してくれるブレインの方々がいてこそ、
ルーツの想いも達成する。

ホームページでお問い合わせいただいた方々と最近やりとりし、
お会いした方もいる。長い時間をかけてパートナーになって行ければ
嬉しいです。

1年前、ルーツを開業したときにお祝いをしてくれた、
今でも大切なパートナーのことを思い出しながら、
ふとそんなことを考えた。

roots

Copyrights