Roots

blog / thinking

books0915_roots

「街場の憂国会議」に続き、内田樹さんの著書「街場の共同体論」を読了。

「巨人の星」にあったような父の威厳というか権力がいまの家族には
なくなってきていることや母親の「父親兼任」が進んでいるという家族論。
私が育った家庭では、特に父が威張り散らしていた訳でもないし、
料理つくったり皿洗ったり子供と遊んでくれた父の姿が当たり前にあったから、
内田さんがいういまの家族のあり方がすっと入ってきた。
そういう私も父になり、育児や家事を楽しんでいる。

ただ、バブル期をはじめとする日本の経済成長に合わせるように、
家族の消費形態も個別化され、家族自体が崩壊して行くことには危機感を持った。
そして、経済成長が進むに連れて資本主義は加速し、人を見る価値基準が
「年収」になっているという日本社会。。。
楽してお金を稼ぐ方法を学ぶ場が「教育」だとしたらとんでもない間違いだ。

「経済成長」という価値観のもとで世界が動き、コミュニティが崩壊して行く。
そんな日本の将来に警鈴を鳴らし、内田さんは「弱者からのコミュニティの再生」
「師弟関係の再構築」を提案している。

師弟関係の下りは、とっても納得する。
私自身いまこうして独立できたのも、師匠の存在があったからこそだ。
若い頃に師匠に出会えなかったら、きっとなんとなく流された人生を送っていたと思う。
まだ違うフィールドでの師匠に出会えるかもしれないし、
僕よりも一回りも若い20代の子達には師匠と呼べる人を是非とも探してほしい。
探して見つかれば、あとは必死に学んで行けば良いんだもの。

まちづくりを考える上で、とっても大切なことを学べた。
ありがとう、内田さん。

ご興味がある方は是非とも。

high line

2010年の暮れに訪れたニューヨーク。
どの場所もしっかりと記憶に残っているが、
中でも感動したのが鉄道敷を公園として再生したHIGH LINEだ。

そのHIGH LINEの実現までの物語を描いた書籍を偶然にも見つけて即購入。
内容は、ジョシュア・デイヴィットとロバート・ハモンドという2人の
キーパーソンの回顧録でストーリーが展開する。

このHIGH LINEは、貨物輸送のための鉄道で、ビルとビルの合間を繋ぐように
空中に整備されていた。既に貨物輸送のニーズを失った鉄道敷には雑草がはえ、
夜になると犯罪が起こる治安の悪い場所であったことから、
沿線住民や地権者の大半はその鉄道敷の撤去に動きつつあった。

その事業説明会で偶然出会ったデイヴィットとロバートは、このハイラインの
構造や景観が大好きで、なんとか残せないかと意気投合する。
そのたった2人の想いから、このハイラインの公園が誕生したのだ。

ハイラインの魅力を知ってもらうためのキャンペーン活動や住民説明会、
支援者を増やして行くための根回し、啓発活動や建設費、運営費獲得に向けた
資金獲得・・・尋常ではない道のりを、まちづくりや都市再生には全くの素人
であった2人は、10年という歳月をかけて乗り越えた。
その気力と行動力には、多大なる勇気がもらえる。

最初反対多数で進むところは日本と全く変わらないが、
なぜアメリカでできて日本でできないのか。。。
いろいろと理由はあると思うが、私の中で感じたことは、
「判断して動く基準が、組織ではなく個人に帰属している」ということだ。

この都市再生物語の当初は、たった2人しか保存賛成派がいなかった。
しかし、その2人に共感した少数の人達は、力になってくれる専門家や
寄付を出してくれるお金持ちを次々に紹介する。
普通、反対多数の中だと組織的にNOと言えないのが日本だが、
アメリカの場合は共感したのは自分個人であって、「私が賛成したんだから」と
あれこれ手を貸してくれる。俳優のエドワートノートンも賛成してくれ、
建築好きのブラッドピットにも支援の手を求めたそうだ。

アメリカは、寄付をすることが社会的なステータスだと聞いたことがあるけど、
このプロジェクトにおいても、1億、2億と巨額な事業資金を寄付する「個人」が
たくさんいた。

そんな民間の動きに対して、市議会の人達も次々に賛同し、
市役所に対して保存の働きかけを行う。
そしてついに、当初撤去のゴーサインまで出した市役所は、
市長がかわるタイミングで保存に舵を切り、保存と判断したからにはと、
建設資金の拠出もし、デイヴィットとロバートが設立した「Friends of the high line」
の意向に添って設計・工事を進め、公園の管理運営も彼らに任せたのだ。

市民2人の思いつきからプロジェクトは動き出し、
10年という歳月をかけてとうとうHIGH LINEは完成した。

本を読んで、勇気をもらった。
たった1人でもできることはあるし、例え理解者が少なくても道は拓ける。
まちづくりや都市再生にかかわる人には是非とも読んでほしい。

本を読んでから改めて、HIGH LINEに行きたくなった。
(以下の写真は、2010年暮れの様子)

high line001

high line002

high line003

high line004

high line005

最近、「ホームページを拝見しました」ということで、
お問い合わせをいただくことが増えている。

FACEBOOKとも連動していないし、基本は名刺交換させていただいた
方にしかWEBのアドレスは伝えていないはずなのに、
わざわざ探してくれて連絡していただけるのは本当に嬉しい。
気軽なSNSとは違って、わざわざ探して連絡してくれるのだから
その分想いも伝わるし、どのお問合せメールにもしっかりと
想いが込められている。

しかも、「想いに共感しました」との連絡は涙が出るほどに嬉しい。
まちづくりや観光の仕事をしていると、常に「誰のために」「なんのために」
究極は「自分は一体、地域社会にとって何か価値あることをしているのか」と
不安にかられることも少なくない。

最近は、自分のしていることを説明する機会が増えていて、
「わかりやすく」伝えることが求められる。
民間の仕事をしている人にとっては、公共の仕事というものは結果が
見えにくくて非常にわかりにくい側面があるのだろう。
なかなか理解を得られないことも多い。

そんなときについつい「ホームページを見てください」なんて
言いたくなる時があるが、全く門外漢の人に対して直接言葉で理解を
してもらうことも今後重要になってくるんだろう。

私なりに考えるまちづくり。
それは、「一人でも多く、町のことを好きになり、住む人を増やす」
ことなのだ。以前唐津のフリーペーパーRoastを作るときにも考えたように、
10000人ではない100人の琴線に触れ、まちのことが大好きになり、
自発的に、主体的にまちに関わって行く人たちを増やしていくこと。

そのためには、あらゆる手段の中からその土地に合ったアプローチを選択
しなければならない。その実現に向けて重要なのが、地元に住んでいる方々。
私は言って見ればよそ者である。その町をずっと育てていくのは、
そこに住んでいる方々なのだから。
住んでいる人たちが気づかないことは、よそ者の私達が少しきっかけをつくり、
アイデアを提供して行く。当然先行して動かして行くことも必要になる。
でも最終的には、その土地の中で、私がいなくなっても想いを持ってまちを
育んで行く人たちが根付くことが結局はゴールなんだろうなと最近思う。
その人たちがいることが、結局はまちの価値をあげていくことなんだから。

そのためには当然ながらにアウトプットもこだわっていかなくてはならない。
デザイナー、建築家、ミュージシャン、不動産屋、商業者・・・
様々な専門家を多様に巻き込んでいくことで、話題も自然と広がって行く。
想いを共感し、協力してくれるブレインの方々がいてこそ、
ルーツの想いも達成する。

ホームページでお問い合わせいただいた方々と最近やりとりし、
お会いした方もいる。長い時間をかけてパートナーになって行ければ
嬉しいです。

1年前、ルーツを開業したときにお祝いをしてくれた、
今でも大切なパートナーのことを思い出しながら、
ふとそんなことを考えた。

roots

年度末が終わった。
独立して1年、嬉しい悲鳴であったが、今回の年度末は忙しかった・・・

地域活性化や観光の仕事が多いので自ずと年度末は忙しくなる。
年が明けて気持ち新たにというのが一般的だが、
年度末仕事が多い私としては、年度が明けた4月が本当の意味での新年。
そして4月は、Rootsを開業した時期でもある。

独立してから丸1年。
少し充電して、いろんなまちを見て、新たな年度の戦略を!と思っていたが、
現実はそうではなかった。。。
今年の暮れまで続くプロジェクトがいよいよ本格的に動き出し、
年度が明けてからも毎日慌ただしい日々が続いている。
とっても有難いことです。

ただ、忙しさにかまけて、何も充電せずに、戦略を立てずに一年が過ぎるのはいけないと、
自分に発破をかけて、移動中、時間を見つけては本を読み、これからのことをあれこれと
考えるようにしている。

そんな中で出会った1冊。
面白い仕事をしていると前から気になっていた「nendo」。
代表の佐藤オオキさんは年が1つしか変わらないが、
建築・プロダクト・グラフィック・店舗とあらゆるデザインをフィールドに、
世界を舞台に活躍されているデザイン集団だ。

彼らの思考はとっても面白いし共感する。
クライアントの能力や商品力を最大限活かすために「一歩下がる」という姿勢。
とにかくクオリティー高くスピード感を持ってプロジェクトに取組み、
提案するアイデアは目から鱗のものばかり。
視点の移動力、繋がらないものを繋げることで新たな価値を生み出す「他人丼」の考え方。
専門的になりすぎないからこそ、フラットに、新鮮に考えられるんだろうか。

アイデアを実現するために、彼らが実践する「耕す」「育てる」「収穫する」
サイクルは、私の仕事にも十分役立つものだった。

「一歩下がる」という姿勢は、地域で仕事をする上でとっても大切なこと。
単なる表層的なお化粧ではなく、社会・企業の問題を解決するプロフェッショナルとして
彼らの仕事はとっても興味深かった。
良い本に出会えたし、モチベーションがあがった。

さぁ、今年度も頑張ろう。

book140404

引っ越しに仕事にといろいろ慌ただしかった8月も終わり、
もうすぐそこまで秋がやってきています。

8月は仕事や里帰りでいろんなところに行きました。
唐津や長崎、鹿児島、大阪などなど。

一年ぶりに里帰りした我が故郷大阪は、商業施設開発ラッシュで
活気が生まれる一方、私が親しんだ風景も様変わりしていました。
仕事のほとんどは地方での仕事が多く、豊かな海や里山、歴史的な
町並み、みなと、人情豊かな商店街、離島を日常的にみているせいか、
年を重ねるごとに大型商業施設には関心がなくなっています。

そんな中で、大阪に誕生した大型商業施設「グランフロント大阪」には
どうしても行ってみたかった。
というのも、このグランフロントが整備された大阪北ヤード跡地は、
過去に跡地活用の国際コンペが開催されていて、大学時代にそのコンペに
関わったから。

私が在籍した九州大学の研究室と九州芸術工科大学(現:九州大学)の
建築系の研究室がタッグを組み、どれくらいだろう、3ヶ月くらい
あれやこれやと議論したことを覚えています。

結果的に方向性がまとまらず(?)に提案しなかったものの、
そこで出たアイデアやエスキスは今でも覚えています。
大きなグランドスケープとしての迷路空間、void、ため池・・・
大学の同期チームでは、関西圏の大交通拠点ということで、
「移動するコンテナ」をテーマに、ここを機転に関西各地に人や物資を
運ぶ移動ショップやカフェ、敷地はそのコンテナが配置された
セントラルパークに、という提案。
当時はまだまだ未熟だったということもあって、今思うと(今も未熟ですが)、
完成度の低さを感じますが、発想は結構面白かったんじゃないかと
いまでも思っています。

少しでも思いを馳せた場所だから、実際にどうなったんだろうと
現場をみてみたくなったんです。

以前は空き地だった、梅田のヨドバシカメラの横に
そびえ立つ高層ビル。敷地内に入ると、多くの人だかり。
そこそこにベンチがあって待ち合わせや会話を愉しむ人、
いま流行のフローズンビアガーデンで盛り上がっている人、
JR大阪駅に向かう多くの通勤客の人山、
地下の商業施設に続く親水階段や親水空間。
中をのぞくと、「大阪初出店」の文字が踊るショップや飲食施設の数々、
「知」をテーマにしたナレッジキャピタル。。。

確かに人は多い。阪急や伊勢丹も含めると、大阪梅田は大商業エリアへと
舵を切った。だけども、、、すべてが人工的で気が休まらない。
商業施設前の親水空間で子供が泳いでいる光景を見て、
違和感を感じざるを得なかった。これが大阪の水辺なのか・・・
ナレッジキャピタルは発想的には面白いけど、せっかくなら
気持ち的に豊かな空間で、知識を学ぶ場所にしてほしかった。

梅田で一番好きな屋上庭園(スカイタワー)は、周囲に遮るものがなく
大阪を一望できる。川や港が見えて、つかの間の自然を感じられる場所だ。
そのスカイタワーに隣接する場所なら、逆にグランドレベルで、
つかの間のひとときを過ごせる公園にする発想はなかったものか。
梅田には緑が少ない。ちょっと休憩したいと思う場所がない気がする。
敷地の隅っこにちょっとした緑地空間はあったけど、どちらかというと、
メインの動線からは外れている場所でもったいない。

歩いて消費して、また歩いて・・・おしゃれなカフェはもちろんあるけど、
住んでいる人や働く人たちがふと気を抜きたくなるオープンスペースが
あってもよい。NYでいうセントラルパークのような空間が。
公園の中にお店がある。そんな空間になれば、もっと他の商業空間と
差別化が図れたようにも。間違いなく、私は通うけど。

植樹運動をしている安藤さんだったら、どんなアプローチをしただろう。
少子高齢化や人口減少で、今後都心は超コンパクトシティになっていく
だろうけど、高密度にするからこその息抜きの場が欲しかった。
買い物がどんどんネットに切り替わっていくからこそ、リアルに消費する
場面は、気持ち的にもリラックスして、人の顔が見えてゆっくり会話を
しながら物が選べるコミュニケーション空間になった方が嬉しいけど。

あくまで個人的な感想ですが。
10年以上前に思考した記憶を蘇らせながら、そんなことを考えてた。

グランフロント001

グランフロント大阪外観

グランフロント002

グランフロントからJR大阪駅の眺め

グランフロント003

敷地内にある親水階段

グランフロント004

敷地内にある親水空間

グランフロント006

敷地内にある緑地空間

グランフロント005

敷地内にある親水空間

グランフロント007

ナレッジキャピタルにあるカフェ

グランフロント008

ナレッジキャピタルにある車のショールームカフェ

Copyrights