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2014.05.28 / trip

上海の光と陰。

先日、高校時代の友人を訪ねて上海に行った。
これまでどうしても足が向かなかった中国だが、
自ら行かずして中国のことを語ることはできない。
良い機会だと思って。

上海の人口は約2,400万人。東京の1.8倍ほどの人口だ。
さぞや人で溢れかえっているのだろうと、少々憂鬱な気持ちを
抱えて降り立った。

期間中に滞在させてもらった高校時代の友人の自宅は、
閑静な高級住宅街であり、景観もサービスも行き届いている。
私のイメージする中国のイメージではないとてもクリーンな印象だ。

一日目の夜は「新天地」という若者・観光客が集まるエリアで
中華を食べて休息。
旅をするときは、あれやこれやと調べては毎日みっちりとプランをつくる
方だが、今回の旅は全て上海在住の友人にお任せ。
気分的にはらくだし、全くの予備知識がない分、どんな場所に連れてって
くれるのかワクワクしていた。

2日目。建築やデザイン、アートが見たいとだけ伝えていたので、
まず連れて行ってくれたのは中心地より少し離れた場所にある「半島1919」。
工場をリノベーションして、アトリエやデザインオフィス、デザインセンターが
集積するエリアだ。基本そのままの外観を活かしているところが良かった。

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半島1919

中国語がぺらぺらな友人にお願いして、アトリエにいた若い陶芸家に話しかけ、
どんな作風なのか、この場所の特徴、彼の想い、いろいろと語ってくれた。
とても真面目な感じの作家さんだった。辺りをぐるっと回っていると面白い建物が。
このエリア一帯の拠点となっている芸術設計センターだ。

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半島1919 センター

次に訪ねたのは、同じく工場を再生したアートスポット「M50ギャラリー街」。
ここは半島1919よりも凝縮していて、建物の各部屋には陶芸、絵画、現代アート等の
アーティストが制作活動をしていて見れるのが面白い。
英語が通じないので、交流ができないのが少々残念であった。

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M50ギャラリー街

次なる目的地へぶらぶらと歩いていると、よく目にしたのがアパートの外に
棒を延ばして洗濯物を干す風景。日本では当たり前だが、上海にはベランダというものが
ほとんどない。となると、こうやって干すしかないんだろう。
ヨーロッパのした街でもよく目にした風景だが、上海ではより生活感がにじみ出ている。

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上海の日常の暮らし(その1)

中心部へと戻って訪れたのが「田子坊」。
古い建物が残っている狭い路地空間一帯がちょっとした観光地になっているスポット。
狭い路地の両側には、お土産屋さんや飲食店がずらっと並び、
アジア・欧米の観光客でごった返している。

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田子坊の風景

私はどちらかというと「つくられた」観光スポットにはあまり興味が
惹かれない方で、生活臭漂う場所を好んで訪れる。
旅先で必ずと言っていいほど足を運ぶのが市場だ。
田子坊にも市場があった。
野菜や海産物が並べられ、買い物客もほとんどが地元の人だ。
上海の暮らしを垣間みれる。

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田子坊の市場

あとは、田子坊の路地の中で広場になっているところで、
昼間からビールやワインを飲んで友人と話し込んでいた。
夕方からはもう一人友人が合流して上海料理を満喫。
とても充実した1日であった。

翌日は少々二日酔いの残しながら、中心地から1時間ほどのところにあるスポットへ。
任せすぎたせいか、駅名やスポット名をあまり覚えていない・・・
最初に訪れたのは、書家や画家、詩人として活躍した地元のクリエイター李さんの
庭園へ。

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書家・画家李さんの庭園

中国の庭園は、日本の庭園よりも垂直性が強い気がした。
描いているのは、李さんの絵にもあった山の風景だろうか。

ここには、田子坊と同じような、よりローカル色の強い買い物ロードがあった。
決して衛生上奇麗とは言えないが、地元観光客がほとんどで、
等身大の上海を象徴する場所である。

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上海ローカルの観光地

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道ばたで売られていたキムチ

その後、辺りのお寺・庭園を鑑賞し、次なる目的地「19参Ⅲ」へ。
ここはもともと食肉工場だったところを商業文化複合施設として再生。

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19参Ⅲ(1933)老場坊 外観

建物は当時のまま活かしていて、牛舎や牛の道がそのまま残っている。
建物だけでも十分見応えのあるところ。
強いて言えば、当時どういった使われ方がしていたのかを写真で展示していると
もっと面白いなーと友人と話していた。

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19参Ⅲ(1933)老場坊 内観

屋上からは上海の風景が一望できる。
遠くには、上海の経済成長を象徴する高層マンションが建ち並んでいるが、
足下には古びた建物の等身大の暮らしが根付いている。

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19参Ⅲ(1933)老場坊 屋上からの眺め

足下の暮らしの風景をなぞってみる。
いかにも壊れそうなバイクを駆使し、家の前の路上では洗濯や食事、
昼寝、会話、子供達の遊び。みちが暮らしの交流空間なのだ。
かつて日本にもあった、じゃりんこちえの下町の世界。
いつかは高層マンションに暮らしたい、下町に暮らす人はそう夢を
描いているのだろうか。

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上海の日常の暮らし(その2)

旅のクライマックスは、上海観光のド定番の川沿いの夜景スポット。
どこにいたのだと言わんばかりの観光客の数。。。
到着すると同時に対岸の建物がライトアップ。
クラシックな建物も並んでいて、中国とは思えない。

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ド定番の夜景

最後は、この夜景が見渡せる絶景のBARでしっぽり飲んで上海旅は終了した。
料理が美味しかったことはもちろんのこと、リノベーション事例をたくさん
見れたのは収穫だった。そして何よりも、華やかな上海の一面だけでなく、
贅沢ではない等身大の暮らしを覗き、光と陰ではないが
その対比を目の当たりにしたことが一番印象に残っている。

一部の人たちの上海ではない、みんなの上海だ。

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