先日、偶然にも訪れた大分県竹田市のラムネ温泉。
ずっと行ってみたかった温泉。
泉質の高さで今や大人気の温泉になっていますが、
私のお目当ては「温泉」というよりもむしろ「建築物」。
自然をモチーフとしたユニークな作品を手がける建築家として
有名な藤森照信さんが設計した温泉で、九州の事例としては
とても有名。
温泉を早々にあがって建築探検(内湯の空間も面白かったですが)。
玄関、中庭、敷地の外、最後に2階といろんな角度から建築を眺めて、
可愛らしいフォルムと角度によって変わる表情の豊かさを体感しました。
近代的な建築はどちらかというと「空間との一体化」の名の下で、
透明感のあるガラスやルーバー、コンクリートを使ったシンプルで
スタイリッシュなものが多いですが、藤森さんの建築はそれとは
対極的なデザインで、「人間としての温かみ」が感じられてとても好きです。
私が唐津のまちづくり会社で働いていた時、
唐津の建築遺産・旧唐津銀行の生誕100周年の事業に関わっていました。
旧唐津銀行の保存委員会に藤森照信さんが関わられていたことを知って、
100周年記念事業の一環として藤森さんの講演会を企画提案しました。
唐津市の職員の方と一緒に東京まで講演依頼に行きましたが、
とても気さくで優しいお方でご快諾いただきました。
その講演会は素晴らしかった。
屈託のない笑顔で建築のこと、歴史のことを語る藤森さんはとても印象的で、
言葉の1つ1つに「建築や街並みに対する愛」を感じました。
そう、藤森さんに人間としての温かみがあるのです。

旧唐津銀行における藤森照信さんの講演
建築って人間性が現れるんだなって、藤森さんの建築物を間近でみて
そう感じました。
そんな建築物やコミュニティが1つ1つ重なって街や地域が作られる。
地域も人間性が出ていた方がうんと面白いと思います。
(佐藤 直之)