今日は唐津観光のおもてなしセミナーへ。
お目当ては、アレックスカーさんのお話。
ほとんどが「景観」に関することで、
愛読した「日本景観論」の内容が満載でした。
とてもシニカルで笑いも取りつつの講演でしたが、
日本の未来に警鐘を鳴らす深刻なメッセージと
私は受け取りました。
人口が減少してもとても豊かに価値を創造している
トスカーナ等の事例は、参考にするところがたくさんあります。
観光立国の誘客要因となっている欧米の街並みは、
そもそも観光のために整備されておらず、
この豊かな街・暮らしを守りたいというプライドの表れである点が、
「観光の本質」を突いていると私は感じました。
目先の集客ではなく、その地域に誇りを持って、
いかに地域の風景を大切に守っていくかという
「シビックプライド」が観光につながっていく。
その豊かに暮らす人たちに憧れて、暮らしの追体験を
するのが観光の本質だと思うんです。
でも、日本の観光はとても過保護で、必要以上の
便利さ・機能・サービスを求めるあまりに、それが本来求めていた
観光の魅力を阻害しているという矛盾さを露呈し、
がっかりする場面に多々出会うことになります。
ただ自然や風景がそこにあることが観光客にとっては豊かさや贅沢になる。
こんな情報やモノにあふれた時代だからこそ「何もないこと」「不便なこと」
が逆に魅力になる。
もっとおおらかにゆったりと、目の前にある暮らしを眺めたら、
ローカルには人を惹き寄せる「何もない価値」にあふれている。
セミナーの帰り、1時間に1本しかないJR唐津線に乗車してそう感じました。