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Roots

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2015.06.25 / thinking

先生からの問い:プロデューサーに必要なこと。

先日の九大でのセミナーの時に、名誉教授からの問い。
「現在、いろんな分野で総合的な視野を持ち、横断的に調整するプロデューサーが
 求められている。プロデューサーになるために必要なことはなんでしょうか?」

まだ経験も知識もない若輩者だけど、学生たちへのメッセージということで
その時に思ったことを話したつもりだったけど、なんか自分の中で言いたいことを言えてないなあと
ずっと引っかかっていて、ふと自分なりの答えが先ほど浮かび上がってきた。

◎考えを寝かせる時間をつくる。
この時間を意図的につくっている。私にとってそれは朝のランニングであり、
出張先へのドライブの時間がそれにあたる。
どんな仕事であれ〆切は存在する。その〆切から逆算して、まずは余裕を持って
課題の設定、事業の方向性を考える。ある程度しっくりきたら書き起こしてとりあえず寝かせる。
その間は敢えて机に座って向き合わない。ふとしたときに、軽い気持ちで考えを巡らす。
それがランニングやドライブの時であり、新たな発想が浮かんで来る。

また、客観的な意見を大事にする。仕事で付き合うブレインに、意見を求めてみる。
そうすると、又違った意見が生まれて来る。
そうやって、自分の視点が広がって狭まって、最終的にはしっくりと自分の中に落ちて来る。

振り返る時間、聞く力、これが意外とプロデューサーには大切だと思ってます。

◎自分で体験してみる。
いろんな視点を持って、いろんな専門家の力を最大限に引き出して事業を導くためには、
やはりその分野での現場経験がないとできない。
そういう意味ではたくさんの経験をさせてもらって、たくさんの失敗をした。
その失敗は自分で考えてやったことだからこそ実になって返って来る。
若い時の苦労は買ってでもした方が良いことは年を重ねる毎に身にしみてわかる。

その授業の時には、「アンテナを貼ることが大事」と言ったけど、ちょっと言葉足らずだった。
正確には、「考えを寝かせる時間をつくる」ことで手を動かす時間をできるだけ少なくし、
効率的に仕事をすることが大切な上、地域ごとに課題や状況が異なるいまの時代には、
その多様性に対応するだけの知識、というよりは経験を自分でしていないことには説得力に欠ける。

だから観光の仕事をしていたら、自腹でいろんな町に旅行に行って、その費用対効果や売れているもの、
人を惹き付けるものをつぶさに観察しておかないと引き出しが増えて行かない。
その「自己投資」がないことには、自分の言葉で説明もできない。

日本酒の仕事であれば、実際の食卓で、どういった料理に合うのか、日本酒だけで成り立つのか、
食中酒に合うのかを肌で感じないことには、その分野の仕事はできない。
焼物の仕事であれば、上に同じく、どのシーンで、どういった使い方が楽しいのか、価値があるのか、
魅力が伝わるのかを、1ユーザーとして体験する。

仕事がどれだけ忙しくても、意図的にそういった「体験する、実感する」時間をつくるということが大切。
私の仕事の最大の魅力は、公私の境がないということだろう。
まちを見て歩くことが好きだから、まちづくりや観光の仕事が生きて来る。
美味しいものを食卓で味わう時間をつくることから、1ユーザーとしての感覚を失わずに提案ができる。

もう一歩踏み込んだ専門的なことはその道のプロフェッショナルに任せれば良い。
私の仕事は、いかにその可能性を、違う視点を、企画段階で作り出すことができるかが本質的なこと。
そのためには、放電する機会がいつ来ても良いように、意図的に充電できるかなんだと思う。

質問してくれた先生に、もう少し考えたことを伝えたい。
四六時中考えることが好きなんでしょうね、この商売は。

Copenhagen,2007

Copenhagen,2007

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