元岩手県知事の増田さんが書いた「地方消滅」を読んだ。
なんとなくは意識していたけど、ここまで具体的な数字で
人口減少の推移を見るとぞっとしてしまう。
既に人口減少の急激な波を受けている地域も少なくない。
そして、若者は仕事を求めて東京に集中し、仕事のキャリアアップや
機会を求めていくにつれて女性の結婚率は下がり、少子化に拍車がかかる。
東京だけに人口が一極集中し、東京に超高齢化社会が到来する。
増田さんのいう、「極点社会」のイメージだ。
私も結婚して子供が生まれてから、女性の子育てや働く環境にようやく
目がいくようになったが、その環境は決して充実したものとは言えない。
預けて働くにしても希望に叶った託児所は整備されていないし、
送り迎えのアクセスや働きやすい環境もまだ整っていない。
まちづくりにもっと子育て世代の声を反映しない限り、
具体的に目に見えた形で出生率は上昇しないだろう。
九州の地方都市でまちづくりの将来像を考える機会がたくさんあるが、
最近では、「若者」「コミュニティ」についての真剣な住民の声が
よく聞こえてくる。
いまの子供達だけではなく、これから生まれてくる子供達の未来も
考えていかなくてはいけない時代になった。
目先のことだけではなく、10年いや30年、50年先のビジョンを
しっかりと見据えなければ、将来を託された若者達のまちは残っていない。
現在まちづくりに関わる人達には、その責任が託されている。
徹底的に子育てしやすいまちを創る。
地方に働き口がなくても、地方の都市部に通えるベットタウンとしての
環境づくりを徹底する。
神山町のように、環境とITを売りにして東京の起業家を引っ張ってくる。
それぞれのまちで、規模や資源、立地に見合った戦略があって良い。
都市と地方の人口交流を活発にし、九州という単位で人口流出に歯止めを
かける広域的な考え方も面白いと思う。
この本は、まちづくりに関わる人達が前提条件として理解しておくべき
大切なデータをまとめてくれている。
「地方創生」は、政権が変わろうが変わらまいが、
いますぐに取り組まなければならない課題だ。
身の引き締まる思い。
もっと考えよう、もっと行動しよう。