長崎県雲仙市在住のデザイナー・城谷耕生さんが亡くなりました。
デザイン事務所のスタッフから訃報のご連絡をいただいたのは日曜日。
あまりにも急なことで、完全に言葉を失ってしまいました。
コロナの影響によって県外から葬儀に参加することが厳しいため、
最後のご挨拶をすることができませんでした。。。
城谷さんとの出会い。それはかれこれ10年ほど前。
唐津のとあるまちづくりプロジェクトがスタートすることになり、
城谷さんはその委員会の専門家として、私はプロジェクトの実務を
サポートする受託者としてプロジェクトに参加することになりました。
唐津焼再生のプロジェクトに関わられていた城谷さんのことは少し
知ってましたが、高校の同級生が城谷さんのことをよく知っていて、
プロジェクトの懇親会の時にそのことを城谷さんにお話ししたら意気投合。
城谷さんの経歴のことやデザインのこと、そして私が一度お会いしたいと
かねてから願っていた福岡市在住・唐津出身の世界的椅子のコレクターの
永井敬二さんと親交が深くて、唐津に彼のデザインミュージアムを
作れないだろうかという話もしてくれて、大いに盛り上がったことを
今でも鮮明に覚えています。
それからというもの、私の一方的なラブコール?を通じて、
いろんな場面でお会いして、交流させていただきました。
私が会いたいと願っていた椅子コレクター・永井さんとお食事する
場を作っていただいて、永井さん行きつけの大名の料亭で3人で
食事をしました。この10年で私が一番緊張した時間。
私達のイタリア新婚旅行の旅先をアドバイスしてくれたのも城谷さん。
10年間イタリアに住んでいた城谷さんならではの視点をインプットした
旅はとても魅力的で、チンクエテッレ、マナローラの宿、ジェノバの
裏通りのレストラン、、、どれも印象的で、今でもかみさんと良かったね
と思い出します。
(イタリアでいつか宿をやりたいという夢も、マナローラの宿が源泉です)
城谷さんがお住まいの故郷・小浜温泉にも何度も遊びに。
城谷さんが手掛けたデザイン物件一緒に見せてもらったり、
刈水庵でお買い物したりイベントに参加したり、
事務所の外で海を見ながらバーベキューしたり、
絶品の「たの吉」で一緒にお食事したり、
永井さんとも一緒に城谷さんを訪ねて小浜ステイしたり。
来年は必ず行こうとかみさんと話していた矢先のことでした・・・
城谷さんが手がけるデザインがどれも素敵で、KINTOの食器はよく買って
使ったし、プレゼントしました。
私が今こうして作業しているオフィスデスクも、城谷さんにデザインしてもらった
ダイニングテーブルを使用しています。
仕事では、唐津で2回講演してもらいました。
旧唐津銀行での永井さんとの対談はとても感慨深いものでした。
弊社が手伝っているまちづくりのプロジェクトの中で、建物再生する案件を
相談したことがありましたが実現できず。
つい最近動いている案件でも相談しようかなと思っていましたが、
日の目を浴びることはありませんでした。。。残念です。
わずか10年ほどの親交ではありますが、
城谷さんのことは大好きで、とても尊敬しています。
プロダクト、グラフィック、インテリア、建築、まちづくりと
手がけるフィールドが多岐に渡るマルチで才能のあるデザイナーであり、
人としても器が大きくとても優しいお人柄でした。
残念でなりません。悔しいです。
まだまだお会いしていろんなことを学びたかったし、交流したかったです。
私の人生にたくさんの影響を与えていただきました。
本当にありがとうございました!
まさか追悼展になるとは思ってもみませんでしたが、
長崎県美術館で開催されている展覧会には必ず行って、
城谷さんのデザイン、ものづくりへの眼差しを感じてきます。
心よりご冥福をお祈りいたします。
(佐藤 直之)

唐津での永井さんとの対談(奥が城谷さん)

刈水庵

小浜に遊びに行った時の城谷さん、永井さんを囲んだ集合写真(約10年前)