ペシャワール会の中村哲さんの名著を読了。
凄い人だった。
医師としてアフガンに赴任し、旱魃で栄養と水不足に
陥る市民の健康を回復し、農業国家であった産業を
再生させるためには、河川や水路が必要だと
ひたすらに土木事業を邁進してきた。
写真で見ると、その変化は一目瞭然。
お仕事でご一緒した元ゼネコンの方が、
「いつか砂漠を緑化しに行く」と言ってたけど
まさにそれを実現した人である。
治安が悪化する中でも加熱する誤報に惑わされず、
裏切りや暗殺に遭遇しても絶対に復讐をせずに、
ただただアフガンの再生のために全身全霊で
挑んできたことがよくわかります。
日本ではあたりまえの環境が、備わっていない国もある。
綺麗な水や洪水を防ぐ堤防、目的地に辿り着く道路など、
生活インフラを支える土木事業って、国の豊かさの根底にある。
土木があるから、健康が保たれ、仕事ができ、治安が安定する。
この本を読んで、その価値を再認識しました。
お亡くなりになってから初めて本を読んだけど、
もっと早く読んで生前にお話を聞きたかったなと強く反省。
最終章の「日本の人々へ」はしびれました。
マスコミの誤報に惑わされずに真実を自分の手で勝ち取ること、
経済成長だけではない真の豊かさの追求、
人間は自然の一部であり技術過多になってはいけない・・・、
不易流行。
この時代だからこそ「変わらない本質」を大切にしていきたい。
(佐藤 直之)