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2021.03.30 / thinking

変わらない本質を大切に。

ペシャワール会の中村哲さんの名著を読了。

凄い人だった。
医師としてアフガンに赴任し、旱魃で栄養と水不足に
陥る市民の健康を回復し、農業国家であった産業を
再生させるためには、河川や水路が必要だと
ひたすらに土木事業を邁進してきた。

写真で見ると、その変化は一目瞭然。
お仕事でご一緒した元ゼネコンの方が、
「いつか砂漠を緑化しに行く」と言ってたけど
まさにそれを実現した人である。

治安が悪化する中でも加熱する誤報に惑わされず、
裏切りや暗殺に遭遇しても絶対に復讐をせずに、
ただただアフガンの再生のために全身全霊で
挑んできたことがよくわかります。

日本ではあたりまえの環境が、備わっていない国もある。
綺麗な水や洪水を防ぐ堤防、目的地に辿り着く道路など、
生活インフラを支える土木事業って、国の豊かさの根底にある。
土木があるから、健康が保たれ、仕事ができ、治安が安定する。
この本を読んで、その価値を再認識しました。

お亡くなりになってから初めて本を読んだけど、
もっと早く読んで生前にお話を聞きたかったなと強く反省。

最終章の「日本の人々へ」はしびれました。
マスコミの誤報に惑わされずに真実を自分の手で勝ち取ること、
経済成長だけではない真の豊かさの追求、
人間は自然の一部であり技術過多になってはいけない・・・、

不易流行。
この時代だからこそ「変わらない本質」を大切にしていきたい。

(佐藤 直之)

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