柔らかな日差しが入り込み、ACE HOTELで迎える気持ちの良い朝。
少々寝不足ではあるが、滞在時間が限られているからモチベーションは高い。
ホテルの1階のロビーは簡単な朝食や珈琲を楽しむ旅行者でいっぱいだ。
ロビーから繋がっているSTAMPTOWN COFFEEへ。
通勤前に立ち寄る地元民がぞろぞろとやってくる。
ホテルの横にこういったスタンド式のコーヒーショップがあるのは良い。
朝の始まりにはもってこいだ。

STAMPTOWN COFFEEでモーニング。
今日の工程をチェック。今日は都市再生の中心エリアとなっているパールディストリクト、
オールドタウン、ウォーターフロントを巡る。ポートランドには路面電車やバスが充実
しているが、天気も良いのでホテルでレンタルサイクルをピックアップしていざまちへ!
ホテル前には自転車置き場が設置されているが、その自転車置き場がとってもシンプルだ。
日本みたく仰々しくしないでもこういったシンプルなデザインだったら、
自転車都市の福岡でも十分に台数を確保できそうな気がする・・・

自転車置き場とカラー舗装
最初の目的地は、「POWELL’S BOOKS」。
ポートランドは大手資本に頼らず、独自に文化や店舗を生み出すのが特徴的だ。
その象徴となるのが、ポートランド発の本屋さんである「POWELL’S BOOKS」。
ポートランドにまつわる書籍やZINEの品揃えも豊富で、
地元・観光客のプラットフォームになっているようだ。
ACE HOTELからは2ブロックほどの距離にあり、歩いてもいける。
だが目にした光景に驚く。「ん?工事中?」
立ち入り禁止になっていて、中は工事業者さんでいっぱいだ。
「まさか改装中?」中をじろじろと覗く我々を無視して、工事は淡々と進んでいる。

工事中のPOWELL’S BOOKS
幸先が悪すぎる。。。意気消沈し、唖然としたまま前を進む。
さてどうしようか。考える余裕すら奪われていたところに、
またまた「POWELL’S BOOKS」が。

移転後のPOWELL’S BOOKSの外観
どうやらすぐ先に移転したみたいで、目撃した工事現場は解体していたのだった。
テンションが再びMAXに。体に悪い、こんな急展開。
「POWELL’S BOOKS」の中に入る。まだ早い時間なので、お客さんもぼちぼち。
テーマ毎にエリアが区切られていて、3階までぎっしりと知的好奇心が詰まっている。
早速、ポートランドのZINEや地図、PHOTO BOOKを探す。
キッズコーナーも充実していて、家族で来ても1日ゆっくり過ごすことができそうだ。
2時間くらいはいただろうか。たくさんの書籍やZINEを買い込んだ。

POWELL’S BOOKSの内観
旅の情報も収集し、準備万端。
自転車に乗って、市街地の玄関口となっているWillamette Riverを目指す。

Willamette River
ポートランドは橋の街と言われていて、Willamette Riverにはたくさんの個性的な
橋が架けられている。最初に目指したBurnside Bridgeは空港から市街地へ向かう
MAXの通り道でもあり、シンボル的な橋となっている。
写真右側の「Portland Oregon」の看板は、この街のランドマーク。

Burnside Bridgeから市街地を望む
Burnside Bridgeの橋上で川をのんびり眺めていると、対岸に散策路を発見。
地元民が自転車やランニングをしながら、ウォーターフロントライフを満喫している。

Willamette River沿いに整備された歩行者専用道
散策路のデザインはともかくとして、広大な水面にここまで近づくことができたら、
「親水性」という実感は確実に生まれてくる。
子連れのお母さんだって、水辺に抱かれた豊かな生活を楽しみたいんだ。
Burnside Bridgeの下をくぐって北上すると、Steel Bridgeへ到着。
橋上は自動車やバスが走り、橋下は歩行者専用道になっている。
こんなところにも、都市生活を楽しんでほしいという「生活者」の視点が
取り入れられている。福岡の都市高速の下も、オーシャンビューを楽しみながら
通行する工夫があれば、もっともっと水辺都市としての魅力が生きてくると思うんですが。

Steel Bridgeの下には歩行者専用道が整備されている。
再び対岸へと渡り、川沿いに整備されたウォーターフロントパークへ。
このウォーターフロントパークは、南北方向に途切れなく整備されていて、
歩行者・自転車はゆっくり川沿いを散策できるほか、芝生で寝そべることもできる。
こういう「お金に価値換算できない」都市の質を高める公共投資が、
都市間競争を勝ち抜くための戦略になるでしょう。学ぶべき部分は多い。

ウォーターフロントパーク
ポートランドは平地なので、自転車にはうってつけの街。
自転車産業が盛んなことも納得がいく。
気がつけば、OLDTOWNまで来ていた。
OLDTOWNに入り、偶然見つけたオイスターバーで昼食をとる。
このオイスターバーも生誕100年以上。
こうした個店の歴史が、まちに彩りをもたらす。

オイスターバーDAN&LOUIS
気温はゆうに30度を越えているが、日本と違って湿度がなくからっとしている。
全然汗をかかない。昼からのサイクリングのテーマは、公園巡り。
お目当ての公園を目指して、NAITO Parkwayを北上する。
いつの旅もそうであるが、ガイドブックには載っていない見知らぬ地を練り歩くことも
旅の醍醐味の1つだ。Union Station裏の道路沿いには木造倉庫を再利用した施設もあり、
自分だけが発見したようでなんだか嬉しくなる。

空き倉庫の活用
そういえば、もともと予約しようとしていたホテルはこの辺だったんだ。
自転車や徒歩で街を巡ると、少しずつまちの輪郭が見えてくる。
NW Lovejoy Stにさしかかると、町並みがきれいに整備された再開発エリアに突入する。
歩道がウッドデッキに変わったところで、お目当ての公園「Tanner Spring Parks」
に到着。

Tanner Spring Parks沿いにかかる橋
公園の周囲には、再開発のビルやマンションが建ち並ぶ。
その中に、環境共生型の公園ができている。なにか生物でもいるんだろうか。
子供を連れて茂みの中を探検するお父さんの姿も。

Tanner Spring Parksの内部
もう少し北上すると、一面芝生で覆われた開放的な公園を発見。
ポートランドは空が青い!広い!寝そべりたくなる。
こんな公園が近所にあったらとつくづく思う。

開放感のあるThe Fields Neighborhood Park
公園シリーズの締めくくりは、Jamison Square Park。
Tanner Spring Parkを南下したところにある。

Jamison Square Park
家族連れが水遊びをしているところに遭遇。
こんな姿は世界のどこも同じ。
子育てしやすく、子供の創造性を育む環境が大切だ。

Jamison Square Parkで水遊び
公園からさらに南下すると、歴史的建造物を改修したナチュラルキャピタルセンターが
現れる。このセンターは、単なるリノベーション施設ではなく、環境保護活動に取組む
事務所やショップがテナントとして入居しているのが特徴的だ。

ナチュラルキャピタルセンターの外観
日本でも馴染みの深いPatagoniaも入居している。

ナチュラルキャピタルセンターの内観
建物の玄関には、「DONORS」と記載された看板があった。
建物改修に向けた寄付者だろう。センスが良い。
寄付した人もこれを見れば嬉しいに違いない(と自分だったら思う)。

ナチュラルキャピタルセンターの玄関に設置された看板
一旦荷物をACE HOTELに置いて、今回の旅の視察目的の1つである飲食店巡りへ。
初日の夜の目的地は、South Eastエリアに位置する創作料理の「LE PEGION」だ。
South Eastへは、MAX Light RailとStreetcarを乗り継いでいく。
これがなかなかスムーズにいかない。乗り継いでStreetcarが来るまでに、
30分以上も待った。60万都市ならもう少し本数があっても良い気がするが・・・

MAX Light RailとStreetcarでSouth Eastへ
最寄の駅で降りて歩くこと5分。
お目当ての「LE PEGION」はあった。
すでにたくさんのお客さんで賑わっている。
このお店の面白いところは、お店が狭いせいか、
テーブルがロングテーブルになっていて、隣との距離感が非常に近い。
私達の座った席の隣には、地元の常連カップルが既に食事を楽しんでいた。
お客さんがひっきりなしにやってくる。質の高い食事もそうだが、
きっとこの「上質な食事のひととき」がお店にとって大切なんだと思う。
空間やサービス、居心地を含めた「時間」を消費に繋げていく。

LE PIGEON
2件目は、歩いて10分ほどの距離にある和食レストラン「BIWA Restaurant」へ。
唐津の人気カフェcaffe Lunaに偶然BIWAのオーナーが訪ねてきたみたいで、
紹介してもらって訪ねた。
テラス席には既に食事を楽しむお客さんでいっぱいだ(この明るさで20時すぎです)。
焼き鳥をメインに、日本食をうまくアレンジした料理を提供している。
ちなみに、焼酎は16$、日本酒にあっては30$。
日本の食文化が紹介されるのはとっても嬉しいことだけど、あまりの値段のギャップに
ちょっと違和感を感じた(もともと焼酎は、庶民的で安いSAKEなんですよ。。。)

BIWA restaurant
2日目は、朝から晩までたっぷりとポートランドの空気を満喫した。
3日目は、近年若者文化で脚光を浴びるNorth Eastへ。