
博多灯明ウォッチング

水辺ピクニック社会実験
大学院時代に提案した「saruk project」がきっかけとなってお声がかかった、那珂川・博多川の活用再生プロジェクト。福岡を世界に誇れる水辺都市にしようと有志が集まった「NPO水辺都市福岡を創る会」の事務局長としてプロジェクトに関わった。
まず取り組んだのが、那珂川・博多川の歴史調査。舟運で発展した博多のルーツを探るため、時代をさかのぼり、空間デザインと活用の変遷を追った。昭和の初め頃には、川沿いに映画館や娯楽施設、金融街が立ち並び、多くの人たちで賑わう社交の場であった。また、地元の人たちに話を聞くと、子供の頃は魚釣りをしてよく遊んだ思い出が残っているという。こうした記憶を整理した上で、もう一度水辺空間が市民にとっての生活舞台となるよう、関係団体との意見交換をふまえて、様々な社会実験を行った。水辺空間を気軽に楽しめるよう水辺ピクニックというコンセプトを掲げ、水上バスの運行、水上ステージの設置、水上イベントの開催、河畔オープンカフェの設置、カヌー体験などを行った。
最終的には、福岡部(天神)と博多部(中州)をつなぐ那珂川にフォーカスし、歩行者導線の整備、歴史的建造物の活用などの具体的な提案を行った。まだ提案内容は実現に至っていないが、石積護岸の整備、水上バスの日常化など、関連事業が動きだし、徐々にではあるが博多の水辺空間の魅力創出が進められている。