Roots

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今週は1泊2日で佐世保出張。

1日目は昨年度関わっていたブランド観光圏のセミナーに参加し、
観光の本質が「地域の暮らし」にあり、その地域を磨くことが
観光に繋がって行くという清水 愼一さんの言葉に勇気づけられた。

翌日は昨年度に引き続き、俵ヶ浦半島のトレイルワークショップ。
ワークショップまでに時間があったので、久しぶりに佐世保を巡る。
ずっと行きたかった「針尾送信所」へ。無線塔の真下に立つと、
その構造物の偉大さがよくわかる。
危ないだろうけど、せっかくだったら中に入りたかった。

針尾無線塔

針尾無線塔

そして、土木コレクションの図録に掲載されている西海橋へ。
改めて美しいなぁとしみじみ。

西海橋

西海橋

お昼には、一度行きたかった、西海市の海の駅「船番所」へ。
海鮮のランチバイキングと聞いてはいたけど、魚の種類が少なかったなぁと
少々物足りなさを感じて会計を済ませると、その隣に「お寿司コーナー」を発見・・・
まぁ全体的には美味しかったので良しとしよう。

佐世保・西海をさーっと回ってリフレッシュしたところで、いざ俵ヶ浦へ。
久しぶりの俵ヶ浦町、地元の方々。
お部屋に入ると、“いつもの”差し入れが机の上に置いてある。
かから餅というのだそう。
「今回のは失敗だなぁー」と勧められたけど、十分美味しかった。
俵ヶ浦の魅力は、九十九島の景観や歴史遺産、豊富な食材・自然はもちろん、
このあったかい人のおもてなしが何より。

地元の方々にいただいたかから餅

地元の方々にいただいたかから餅

かから餅を食べて、地元の方々との会話も弾み、
九大樋口先生のリードで、今年のやることのアイデア出し。
「うちのまちに若い人なんてくるとかいな?」なんて不安を言いながらも、
気がつけばまちの釣り自慢がはじまり、最後には「うちのまちは最高じゃ!」って。
シャイだけど、とっても素敵な人達が俵ヶ浦町にはいる。
それで十分。あとはどうやってここの豊かさを伝えるかが大切な仕事。

夜は、今年から始まる隣の庵ノ浦町へ。
まずはお決まりの「まち自慢」から。
ワークショップを始めると、まちの物語や資源が出てくる出てくる。
2時間、話は尽きませんでした。

これだけのまちへの愛着とエネルギーがあれば、
きっとうまくいく。あとは、その地域の思いをどう形にして、
内外への発信と交流、将来的には暮らしの継承(=移住を視野に)に
繋げていくか。そこが、私達よそ者の出番。

観光もトレイルコースをつくるのも、
やっぱり原点は地域づくり(=地域から、地域の暮らしを豊かにすること)。

いろんなまちで、迎えてくれる素敵な人達がいる。
これだから、地域づくりの仕事はやめられない

進行中の仕事がいくつかあるが、
まだ表舞台にあがっていない水面下のプロジェクトが沢山ある。

その街について、自身がずっと温めて続けているもの。
憧れだった方との夢のプロジェクト。
ご縁を頂いた街のリニューアルのお仕事。

どれもまだ予算はなく、数人のキーパーソンの方と
事業の戦略を練っている段階だ。

事業の目的や本質を考える。企画書をつくってみる。議論をする。
また考える。企画書を練り直す。人に問いかけてみる。
発見があった。少し前進。

そんなサイクルがここ数年続いている。
まだまだ実になるのは先かもしれない。
体はひとつしかないから早くと焦る気持ちと、
これからの実現に期待が膨らむワクワク感が入り交じる。

HIGH LINEの本を読んで、ロバートとジョシュアに感化された。
芽が出るまでのこの時間が大切なんだと。

焦らずにじっくりと。
ゆっくりゆっくり温めよう。
信じていればきっと、実になって出てくるはずだ。

2011.10  イタリア/マナローラ

2011.10 イタリア/マナローラ

books0915_roots

「街場の憂国会議」に続き、内田樹さんの著書「街場の共同体論」を読了。

「巨人の星」にあったような父の威厳というか権力がいまの家族には
なくなってきていることや母親の「父親兼任」が進んでいるという家族論。
私が育った家庭では、特に父が威張り散らしていた訳でもないし、
料理つくったり皿洗ったり子供と遊んでくれた父の姿が当たり前にあったから、
内田さんがいういまの家族のあり方がすっと入ってきた。
そういう私も父になり、育児や家事を楽しんでいる。

ただ、バブル期をはじめとする日本の経済成長に合わせるように、
家族の消費形態も個別化され、家族自体が崩壊して行くことには危機感を持った。
そして、経済成長が進むに連れて資本主義は加速し、人を見る価値基準が
「年収」になっているという日本社会。。。
楽してお金を稼ぐ方法を学ぶ場が「教育」だとしたらとんでもない間違いだ。

「経済成長」という価値観のもとで世界が動き、コミュニティが崩壊して行く。
そんな日本の将来に警鈴を鳴らし、内田さんは「弱者からのコミュニティの再生」
「師弟関係の再構築」を提案している。

師弟関係の下りは、とっても納得する。
私自身いまこうして独立できたのも、師匠の存在があったからこそだ。
若い頃に師匠に出会えなかったら、きっとなんとなく流された人生を送っていたと思う。
まだ違うフィールドでの師匠に出会えるかもしれないし、
僕よりも一回りも若い20代の子達には師匠と呼べる人を是非とも探してほしい。
探して見つかれば、あとは必死に学んで行けば良いんだもの。

まちづくりを考える上で、とっても大切なことを学べた。
ありがとう、内田さん。

ご興味がある方は是非とも。

high line

2010年の暮れに訪れたニューヨーク。
どの場所もしっかりと記憶に残っているが、
中でも感動したのが鉄道敷を公園として再生したHIGH LINEだ。

そのHIGH LINEの実現までの物語を描いた書籍を偶然にも見つけて即購入。
内容は、ジョシュア・デイヴィットとロバート・ハモンドという2人の
キーパーソンの回顧録でストーリーが展開する。

このHIGH LINEは、貨物輸送のための鉄道で、ビルとビルの合間を繋ぐように
空中に整備されていた。既に貨物輸送のニーズを失った鉄道敷には雑草がはえ、
夜になると犯罪が起こる治安の悪い場所であったことから、
沿線住民や地権者の大半はその鉄道敷の撤去に動きつつあった。

その事業説明会で偶然出会ったデイヴィットとロバートは、このハイラインの
構造や景観が大好きで、なんとか残せないかと意気投合する。
そのたった2人の想いから、このハイラインの公園が誕生したのだ。

ハイラインの魅力を知ってもらうためのキャンペーン活動や住民説明会、
支援者を増やして行くための根回し、啓発活動や建設費、運営費獲得に向けた
資金獲得・・・尋常ではない道のりを、まちづくりや都市再生には全くの素人
であった2人は、10年という歳月をかけて乗り越えた。
その気力と行動力には、多大なる勇気がもらえる。

最初反対多数で進むところは日本と全く変わらないが、
なぜアメリカでできて日本でできないのか。。。
いろいろと理由はあると思うが、私の中で感じたことは、
「判断して動く基準が、組織ではなく個人に帰属している」ということだ。

この都市再生物語の当初は、たった2人しか保存賛成派がいなかった。
しかし、その2人に共感した少数の人達は、力になってくれる専門家や
寄付を出してくれるお金持ちを次々に紹介する。
普通、反対多数の中だと組織的にNOと言えないのが日本だが、
アメリカの場合は共感したのは自分個人であって、「私が賛成したんだから」と
あれこれ手を貸してくれる。俳優のエドワートノートンも賛成してくれ、
建築好きのブラッドピットにも支援の手を求めたそうだ。

アメリカは、寄付をすることが社会的なステータスだと聞いたことがあるけど、
このプロジェクトにおいても、1億、2億と巨額な事業資金を寄付する「個人」が
たくさんいた。

そんな民間の動きに対して、市議会の人達も次々に賛同し、
市役所に対して保存の働きかけを行う。
そしてついに、当初撤去のゴーサインまで出した市役所は、
市長がかわるタイミングで保存に舵を切り、保存と判断したからにはと、
建設資金の拠出もし、デイヴィットとロバートが設立した「Friends of the high line」
の意向に添って設計・工事を進め、公園の管理運営も彼らに任せたのだ。

市民2人の思いつきからプロジェクトは動き出し、
10年という歳月をかけてとうとうHIGH LINEは完成した。

本を読んで、勇気をもらった。
たった1人でもできることはあるし、例え理解者が少なくても道は拓ける。
まちづくりや都市再生にかかわる人には是非とも読んでほしい。

本を読んでから改めて、HIGH LINEに行きたくなった。
(以下の写真は、2010年暮れの様子)

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chausse

昔から靴がとっても好き。

私の行きつけの洋服屋さんで、
私の体格、好みを熟知するスタッフTさんから
「佐藤さん絶対に気に入るから!」とオススメしてもらったのが
Chausserという日本ブランドの革靴。

革靴といえば、イタリア、イギリス、アメリカと
海外に憧れのブランドがあるもんだから、あまり期待していなかった
んですが、そのモンキーブーツを見た瞬間に完全に心を奪われて。。。
すぐさま購入して、お気に入りの一足として大活躍。

以来、すっかりchausserのファンになり、
色違いのモンキーブーツをかみさんにプレゼントしてもらった。
そして1年ほど前に再びお店を訪れると、Chausserの新作が。
欲しいと思っていたUチップの黒革靴。。。
エンボスレザーにクラシックなシルエット、ON・OFF両方行ける!

これは欲しい!とTさんにサイズを確認してもらうと、なんとサイズがない。
聞くと、これから発注をかけて約1年待ち。。。
基本せっかちな私なので商品を待つなんてことはよほどのことがない限りは
しないけど、今回は待つに値する価値があった。

そして先日、ようやく商品が入荷したと連絡が入った。
Chausser3足目。革が自分色にどう変わって行くのか楽しみ。

日本のものづくり、捨てたもんじゃない。
良いものをつくっていくことはもちろん大切だけど、
Tさんのように、その商品の魅力やストーリーを丁寧に
消費者に伝えて行くことがファンづくりには欠かせない。
そのためには、お店は大きくではなく小さくあった方が、
コミュニケーションの質は格段に高まる。

先日Tさんと仕事のことを話していた際の一言。
「洋服を売るだけだったらキオスクのおばちゃんと変わらないですよ。
 僕は、企画もデザインもPRもイベントも、洋服に関することだったら何でもする。」

素敵な人だ。洋服買うなら、またTさんを訪ねようと強く思う。
多少高くても、ネットではなく、Tさんのところで買いたくなる。
Tさん自身、私にとってはその世界への窓口であり、商品の一部なんだ。

日本のものづくりを支える人達、かっこいいなぁ。

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