Roots

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この2ヶ月間、時間があればずっと物件探しをしていた。

いまの家では事務所スペースが十分にとれないこと、
秋に誕生する子供のためのスペースがないこと。

乗り出したのはGW明け。
この時期は引越の閑散期にあたるため、意外な掘り出し物件があることは
これまでの経験からわかっていた。
ただ、今回の引越はこれまでとは違って、住まいの中に
仕事と育児を共存させないと行けないという条件が付加されている。
そうは言ってもすぐに見つかるだろうと思って挑んだ物件探し。

予想に反して難航する。
かみさんと二人で住むならすぐにでも入居したい物件はたくさんあるものの、
仕事と育児という要素が加わると、これがすぐには見つからない。

間取り、部屋の広さ、仕事部屋の静穏環境、育児スペースの見通し、
ベランダからの眺め、玄関のアプローチ、育児のための段差、
育児面での安全面、快適性、交通アクセス、生活利便性、育児のための
住環境(公園、美術館、海、図書館、等へのアクセス)などなど。

ただでさえリクエストの多い二人なのに、それに加えて仕事や育児の要望まで。
対応した不動産屋さんはさぞかし困ったであろう。
でも、こちらのリクエストに応えて、真摯に対応し続けてくれる素敵な不動産屋
さんが二つあった。いつも思うけど、物件探しは担当者の方の誠意につきる。
度重なる要求にもめげず、常に理想の物件を提供していただいた。

その中で迷った物件が二つ。
間取り、部屋の広さがパーフェクトな物件と生活利便性、住環境が素晴らしい物件。
家族会議を重ねた上で、結局決めてとなったのは「まちあるき」。

2つの物件の近所をゆっくりと歩いてみる。
その街に流れる空気、住んでいる人、交通アクセス、スーパーや公園への近さなど。
これまで見えてこなかったものが見えてくる。
通常の物件探しは、不動産屋さんから物件までドアツードアで行くもんだから、
周辺の空気感・生活感なんてわからない。

まちあるきは、謂わば私の職業でもある。
街を歩くと、やっぱり新しい発見がどんどん生まれる。
特に今回は、事業者として、パパとしての目を持って歩いたので、
街の見方も変わってくる。

それぞれの物件の回りをゆっくり練り歩いた結果、生活利便性と住環境に優れた物件
をチョイス。確かに住むのは建物の中だけど、やっぱり住環境って大事。
特に、移住支援の事業を手がけていく立場としては、こういった当たり前の“生活者目線”
をなおざりにしてしまうこともある。
単なる物件探し、でもみんなまちとしての匂いを感じながら選んでいくんだろうな。
決して安いお買い物ではないんだもの。

いままでは全く気にも止めなかった子供を育てるということ。
自分が幼児だったころは、目の前に公園があって、よく遊びに連れて行ったことを
今更ながらに母親から聞いた。子供の創造性を、自分たちが選んで住む環境から
育んでいくという責任が親にはある。

好奇心があって、鹿児島で欧米の教育を取り入れる保育園にも話しに伺った。
欧米では、子供の頃から大人と対等な立場で育てていくことを重視する。
そして、大人の恩着せがましいイベントにとらわれることなく、子供たちの創造性を養う
ことに重きを置いた住環境や玩具の開発を行っている。

保育園の先生によると、オランダの教育は世界の最先端を行っているらしい。
内容を聞くととってもユニークだった。
そういえばと思って、以前一人旅をしたアムステルダムやイタリアの写真を見返してみた。
街の中では、いつも親子連れでゆったり歩く風景をたくさん見たし、港沿いの学校で
子供たちがいきいきしている光景、カフェで子供たちとくつろぐ姿があった。
子育てするのがとっても幸せそうだった。

子供が生まれることで、街を見る目が変わってくる。
「世界で一番子育てがしやすい街」
そんなコンセプトを掲げて、徹底的に実践する街があっても良い。

生活者がまちを選ぶ時代はもうそこまで来ている。
単なる物件探しだけど、生活者の立場からそんなことをふと思った。

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イタリアのカモッリ。駅そばにある保育園。

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チビダーレの路地の朝の風景。子供連れの大人達がカフェで楽しんでいる。

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アムステルダムの港に面した学校。

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アムステルダムのスポーレンブルク島にある住宅地。

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アムステルダムのスポーレンブルク島。子供が遊べる環境が広がっている。

唐津の情報誌Roastの表紙を飾ったのは、唐津の海。

そう、唐津は海のまち。唐津焼の文化、石炭産業、豊臣秀吉の朝鮮出兵、
ジャックマイヨールと、唐津を彩る豊かな歴史物語は、海がルーツなのです。
海を通じて貿易が盛んになり、海の恩恵を受けて発展した。
唐津は世界に開かれたまち。

そんな世界に開かれた唐津を初めて実感したのは、
2009年に開催されたレーザーラジアルヨット世界選手権大会。
私は、内閣府の採択を受けて取り組んだ「海辺の魅力を活かした観光振興プロジェクト」
の事務局長として、「海のまち、唐津」としての魅力を活かした観光集客や
外国人選手や観光客の観光サポート、おもてなしのお手伝いをしていました。

その中で最も印象的だったのが、「Laser Cafe」と言われるレースを終えた選手や観光客
に食事を提供するカフェ。偶然、日本レーザークラス協会やハーバーの方に声をかけられ、
カフェの責任者をやることに。リクエストは、「食事を通じた地域のおもてなし」。
唐津市内の100人以上の婦人会の女性陣をとりまとめ、商品企画・開発、スケジュール
管理、在庫管理、仕入れ、広報、パーティの企画等を担当。

メインのお客さんは、世界47カ国の20代〜30代の外国人選手。
ヨーロッパやアメリカ、アジアと、食文化の異なる選手たちをいかに満足させながら、
日本の食文化も同時に楽しんでいただくのか。毎日台所は戦場でした。
20代の若者がご年配の女性を采配するのは大変でしたが(笑)、
まるで海外にいるような2週間は本当に刺激的でした。

唐津のおもてなしは世界中から賛辞をいただきました。
あれだけ短期間に、ものすごい人数が集まり、地域が一体となっておもてなしをしたのは、
後にも先にもあのときだけだと思います。

あれから4年。再び“世界と繋がる”機会として、
ヨットの世界大会を唐津に誘致するプレゼンのサポートをさせていただいています。
もうカフェの社長はしないでしょうけど(笑)、誘致が成功した暁には、
世界の観光客に唐津の良さを発信・交流するお手伝いができれば嬉しいです。

唐津には、ヨットという「世界に繋がる」きっかけがある。
世界が認める、優れた海の環境と観光ポテンシャルがある。
つまり、唐津は「世界の唐津」なのである。

グローバル社会の中でローカルの存在を考える時代。

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roast vol.2の表紙は「唐津の海」

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マリンスポーツが盛んな唐津の海

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レーザーラジアルヨット世界選手権大会の会場風景

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世界のセーラーから、唐津はcastle-bayと呼ばれている。

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地元と選手を繋ぐ役目を果たしたLaser Cafe

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外国にいる錯覚に陥った世界選手権時のヨットハーバー

学生時代からお付き合いがあって、大好きな街の1つ佐世保。
先日、佐世保の方のご案内で、俵ケ浦と高後崎を散策。

佐世保には、「坂の上の雲」でも登場するように、
旧軍の財産が数多く残っています。
そして、散策ルートの端々に港の風景と九十九島の絶景が
広がっているのです。

パールシーリゾートから歩くと、高後崎までは24km。
高低差はかなりあるけど、自転車好きな人は楽しめますね。
個人的には、トレイル気分で歩いて制覇してみたいですけど。

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田崎真珠付近


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宮地嶽神社


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集落内の生活道路


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九十九島の景観


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佐世保市街地を見渡す


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九十九島の借景


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砲台跡


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高後崎の突端

「行きつけの店」。

それが、山口瞳にとっての鉢巻岡田やサンボアのように、
その店に行くためにわざわざ泊まりにいったり、その地にいるときは毎日のように
通ったりする店と定義するなら、私にとってはまだそんなお店ないのかもしれない。

でも、これから「行きつけのお店」をつくっていくとすれば、
大分市にある「方寸」は間違いなくリストの中に入るだろう。
ここ数年に行った飲食店の中で、ここまでに五感を刺激され、
食べることの感動をおぼえたお店はない。

週末、その「方寸」の感動と素敵なBOSS・久垣さんに再会するため、
わざわざ大分へ向かいそして泊まった。

一度方寸の魔法にかかってしまった私にとっては、
お店の人には申し訳ないけど、お客さんがいない方寸が好きだ。
なぜなら、方寸の空間、料理、会話、全てを独り占めできるからだ。
それくらいゆっくりと味わいたいお店なのである。

方寸の料理は、五感で楽しむことが考え抜かれている。
料理の美味しさはもちろんのこと、BOSSが厳選する器と盛りつけ、
色味、意外な食材の組み合わせ、全てに一切の妥協がない。

次はどんな料理が出てくるのかずっとわくわくしている。
一品一品に笑顔が溢れ、会話が生まれる。
かつてスローフードジャパンの石田さんがおっしゃっていたが、
方寸の料理は、「食の喜びを分かち合う」スローフードの目的に
叶ったお店なのだ。

方寸の極上の料理は、豊かな感性を持つBOSSと料理人の久垣さんが
いて生まれる。世界一予約が取れないと騒がれたバルセロナのエルブリは、
半年間営業し、半年間は翌年の新メニューのための研究・開発期間に充てられる
らしいが、エルブリのドキュメンタリー映画を見て、日本版のエルブリは
まさに方寸だと勝手ながらに思っている。

方寸の感性豊かな料理とBOSS、久垣さんに出会うと、ついつい時間を忘れてしまう。
昨夜も気づけば午前様であった。

たったひとつ、「行きつけのお店」と会いにいく人がいれば、
そこは立派な旅先になるんだと私は思っている。
つまり、私にとって方寸=大分市は度々訪れる旅先になったのである。

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ジョージナカシマの家具で彩られたカウンター

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関のイサキの姿造りと関アジ

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えびしんじょうのごまパン

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テリーヌと生ハム、ポテト

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茄子と鰯のミルフィーユ

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無花果の白和え

独立してから2ヶ月が経ちました。

これまで変わらずに温かく育ててくれた両親、兄弟、親戚。
時を重ねても変わらない関係でいてくれる高校時代の親友。
自分の価値観を形成し、学ぶこと、働くこと、生きることを
教えてくれた大学の恩師や人生の先輩方。
この分野で私を大きく育ててくれた唐津の方々。
価値観を共有し、共に歩んでいただいている仕事のパートナー
の方々。

いまの私のRootsを築いてくれた大切な方々に、
たくさんの温かいお言葉、叱咤激励をいただきました。
独立したことを自分のことのように喜んでいただき、
改めて「人のご縁」で私は生きていられると感じました。

そんな方々とのご縁を、少しずつではありますが、
カタチにしていければと思い、自ら動いて
新たな事業提案にも少しずつ動き出しています。

一方で、予想外のご相談をいただくこともあります。
自分が考えていること、地域活性化に対する想い、
少しでも共感いただいた方から「一緒にやろう」と
声をかけていただくことも少しずつではありますが
増えてきました。その1つが、私にとってはとっても
不得手な分野で、「私なんかで・・・」って恐縮してしまう
ことなんですが、プロジェクトをスタートすることが決まりました。
(ある程度具体化した段階でご報告します)

これも全て「人のご縁」の賜物。
今まで苦手と思っていたことを乗り越える、いわば成長できる
チャンスをつくってくれたんだと今では前向きに捉えています。
自分の考えを伝えること、出会いを謙虚に大切に育んでいくこと、
続けていきたいと思います。

そんなことをしみじみと感じた日でした。

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