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2020.03.16 / thinking

新国富論

偶然にも2人の人から紹介された馬奈木俊介さんの
「新国富論」を週末読みました。

インフラやヒト、自然のストックをベースにした豊かさの考え方は、
とても共感しました。豊かさ=生産性・経済と決めつけて、
GDPだけが豊かさを測る指標となって良いのか?
今を生きる人達だけの豊かさを追い求めて良いのか?
と違和感を感じていたので、その悩みを見事に解決してくれました。

特に、人的資本を構成する健康資本や教育資本は、
これからの豊かさを考える上でとても大切な要素だと感じます。
人の健康や幸せ(well-being)は、経済活動を生み出すための原点。
今を生きる私達だけが満足するのではなく、将来の世代にも渡って
資本ストックを享受できる社会づくりを目指していきたいものです。

この新国富論の指標を使って、具体的に地域づくりにどう活かしていくか。
とても興味があります。近くにいらっしゃるので、お会いする日も近いかも!?

(佐藤 直之)

外国作品として初めてアカデミー賞作品賞を受賞した
韓国映画の「パラサイト」を観に行った。
とてもいい映画だった。

近年観た映画で印象に残っている映画に
「万引き家族」「わたしはダニエルブレイク」があるが、
「パラサイト」も含めると、全て家族やコミュニティを描く作品であり、
貧困をテーマにしている。

「パラサイト」は実の家族を描いているが、他の2作品は実の家族ではない。
偶然に出会う中で、1つ屋根の下で一緒に暮らし始め、お金がない中でも
笑い合い、希望を持って支え合い、心を通わせる“家族のような関係”を描いている。
家族の関係=コミュニティってなんなのか、考えさせられた。

この3つの映画を通して私なりに感じたことは、
人間としての尊厳を持ち、助け合い、生きていくことの大切さ。
(全ての映画に当てはまらないかもしれないけど)
ITが発達し、コミュニケーションがなくても生きていける便利な時代だからこそ、
失われていく大切なものを映画を通して伝えたかったのではないか。

それはきっと家族だけに限らず、もう少し広く捉えると、
同じ地域で生きていく近所=コミュニティにもあてはまる。

改めて、自分たちが関わっている九州の地方に目を向けてみる。
色々な地域、色々なプロジェクトに関わる中で、
“尊厳を持って、助け合っているコミュニティ”に何度も出会えた。

日本の地方には大切なコミュニティがまだ残っている。
その日本の宝を残していくために、私たちはどんな姿勢で
地域コミュニティを応援していったら良いのか、
映画から大切なことを学びました。

(佐藤 直之)

唐津市・7つの島

高原・御池モニターツアー

大村市・新幹線まちづくり

佐世保市・俵ヶ浦半島

東彼杵町・千綿地区

カメラマン藤本 幸一郎さんのご縁で、
佐賀市の小料理屋で一晩ご一緒させていただいた
フリーライターの甲斐かおりさんが執筆した本を読了。

仕事柄、地域の商業に関するお手伝いをすることが多いんですが、
これだけモノやサービスが溢れかえっているのに、
いまだに大きな市場めがけてやれ商品開発やら販路開拓やらに踊らされている
“右肩上がりの資本主義”にどこかずっと違和感を覚えていて。

そんな中で数年前から地域づくりの仕事で関わっている東彼杵町では、
カレー屋やパン屋さん、カフェなど、小商いを始めた若手の起業者が
“自分達で決めた量や種類しか売らない”経営をやっていて、
すごく共感を覚えたしすっかりファンになってしまいました。

量を抑えて、自分達なりの信念=価値観、ライフスタイルを大切にする
東彼杵の小商いのあり方って、これからの地方には必要な資本主義ではないか。
そんなことをここ1年くらいぼんやりと考えていましたが、
甲斐さんの「ほどよい量をつくる」にはまさにそれが描かれていました!

いやぁ、目から鱗でした。
すごいなぁ、こんなにも愛があって、信念貫いて、市場や当たり前に流されずに
ものづくりや経営している人たちがいるんだって。
馴染みのある九州の事例から、ちょっと話を聞いたことがあった
パンと日用品の店「わざわざ」さんや「百食屋」さんなど、
勇気ある経営者の言葉と行動に元気と希望が湧いてきました。

その中でも特に共感を覚えたのが、ファクトリエさんです。
ファクトリエさんは、業界の価格競争で衰退する工場をなんとかしたいと、
工場自らで商品開発を行い付加価値のある商品を販売する事業支援を行い、
工場の自立化を応援しています。

代表の山田さんの言葉がどれも心にストンと落ちてきて、
その工場と会社の関係性はまさに地域と弊社の関係性に当てはまる!
と勝手に感動を覚えました。

お世辞抜きでとっても素敵な本でした。
甲斐さん、おめでとうございます。
そして地域社会への素敵なメッセージをありがとうございます。

(佐藤 直之)

昨年、同じ地域づくりのプロデューサーという立場から
インタビューする機会をいただいたissue+designの筧さんが、
FACEBOOKか書籍か何かで「ゾウの時間 ネズミの時間」を紹介していました。

この本といえば、いつも可愛がっていただいている
広告マーケッター、コピーライターの三浦弘二さんに
随分前に薦められて買った本でした。
読まなくちゃと思いながら、途中まで読んでそのままお蔵入り・・・

筧さんの紹介を機会に、年末に読み直してみました(というか一から)。
大きな結論としては、動物のサイズが違うと、寿命が異なり、時間の流れる速さが
違ってくる。サイズと時間は一定の関係があるものの、一方で一生のうちに
心臓が打つ総数や総エネルギー消費量は、サイズによらず同じということです。

小さな生物はそれだけ短命であるが、ものすごく濃密な一生を送っています。
環境によっても生物のサイズは異なり、島では大きな動物が内陸よりも小さく、
小さい動物が内陸よりも大きくなる傾向があるという島の規則にも驚きました。

今私たちが生きている時間というものは、人間が勝手に作ったものであり、
そのフィルターを通して世界を見て、環境を考え、判断しているのではないか。
同じ地球に暮らすそれぞれの生物の視点に立ってみたら、もっと違うスピードで
この地球環境を捉え、感じるところがあるんではないか。

それって、地域づくりの世界にもあてはまります。
その土地、そこで育った人達はみんな歩むスピードや価値観も違うわけで、
その人が実際はどう感じ、どう思っているのかという相手の立場に立ってみると、
地域の見方も変わってくるし、大切なことが見えてきます。

単純なる生物の話に見えて、実は地球環境や地域社会においても
大切なヒントが隠されていました。

(佐藤 直之)

先日の10月29日、佐世保市万津町のBRICKMALLにおいて、
半島meets…の公開インタビューイベントが行われ無事に終了しました。

テーマは「計画を実行するうえで大切なこと」。
俵ヶ浦半島の活性化に当事者としてではなく、住民参加による計画づくり
やプロジェクトの実走を外部の立場からサポートするプランナー・
プロデューサーの視点から、改めて事業を振り返り、ヒントを得ようという企画。

対談相手は、地方創生に関する実践と研究を全国で重ね、数多くの書籍を
執筆しているissue+designの筧 裕介さん。
私も気がつけば、筧さんの書籍は何冊も愛読しており、高知県佐川町の総合計画
づくりをケーススタディにした「みんなでつくる総合計画」は、俵ヶ浦半島の
未来計画を作るうえでとても参考にさせていただきました。

当日は、地元佐世保市をはじめ、県内・佐賀県からも参加があり、
スタッフも入れると50名近くの参加者で会場は埋めつくされました。

今回私が用意したのが、「筧さんに聞きたい5つのこと」。
筧さんの地域づくりへの関わりからお尋ねし、半島未来計画の参考になった
高知県佐川町を事例とした住民をやる気にするための計画づくり、
計画から実践へと地域づくりを続けるためのポイントやチームづくり、
そして近年筧さんが注力している地方創生とSDGsまで。

私がプロデューサーとして最も感銘を受けたことは、住民のやりたいことを
実現することが第一だということ。ともすれば、私のようなコンサル的な立場
や専門家が地域に入ると、「これが答えだ!」「こうした方が良い」「市場は
こうなっている」と言いがちですが、筧さんはアプローチが全く逆でした。

住民がやりたいことを可視化する、その想いを引き出すための場づくりを
徹底的に準備し、目標やイシューへと落とし込む。そのやりたいことが
まとまってきたら、緩やかに同じ方向を向くためにビジョンを添えてあげる。

佐川町の発明ラボのお話では、住民の作りたいものをまずは丁寧に聞いて、
実践する環境を作って、そしてプロトタイプができた段階で専門家のスキルを
借りて仕上げていく。専門家の関わりも、あくまで住民の想いを可視化する
最終段階。住民のやりたいことが湧き出る「地熱」を生み出すためのアプローチ
がなんとも明快で、ずっと話を聞いていたいと思う時間でした。

そしてもう一つ印象に残ったのが、地方創生にSDGsの考え方を取り入れた取組み。
目の前にある課題に対して解決策を考えるのではなく、その課題を引き起こす
原因は何か?SDGsの開発目標に沿ってその本質を考えていく。
どこも同じ社会問題を抱える地域の中で、事の本質は何なのかを目を背けずに
考えることは、きっとこの先とても大切な視点だなぁと痛感しました。
そして、地方創生におけるSDGsカードゲームを考案したのは筧さんだったのだ
と知り、定期的にそのノウハウを学ぶ講座をしていることがわかったので
私もいつか受講してみたいと思います。

始まる前は不安でいっぱいでしたが、蓋を開けてみればたくさんの気づきを
得ることができました。私自身、地方創生のプロデューサーとして取り入れたい、
改善したいことがたくさん生まれましたし、俵ヶ浦半島活性化に向けても
自信を持って良い部分とこれからのアプローチが明確になりました。
筧さん、ありがとうございました!

(佐藤 直之)

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