Roots

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あっという間に5月も終わり、梅雨に突入。

なんかあれもこれもと考えている割には
大したこともできずに時間だけが過ぎて、
自己嫌悪に陥ることも。

今しかできないことを存分にやりたい。
将来のなりたい自分達をイメージして、
今から計画的にやっておきたい。

一見矛盾する2つのこと。
でも理想は、今しかできないことを存分にやった先に、
なりたい自分になれること。
本当はシンプルに繋がっている気がします。

昨年度からご縁をいただいたプロジェクトも無事に
プロポーザルの採択をいただきました。
今年度の案件も1つ1つ、ルーツとしての価値を感じていただき、
自分達が大切なテーマと掲げるプロジェクトのご縁を
いただいております。

体は1つ、できることは限られている。
無理をしない自然体が、結局は長続きする一番の秘訣だと思います。

昨日、一昨日とようやくキャンプ行けました!

コロナ禍のキャンプブーム、自然体験ニーズに便乗して、
あちこちにコンテンツ・話題盛り沢山の施設が
続々とオープンしている。

有名メーカーや映えるキャンプ施設、星がついた有名レストラン、
おしゃれなカフェ、ショップ、自然体験スペースと、
これでもかと話題・滞在・消費に繋がるコンテンツが目白押し。
1日いても時間が過ごせる囲い込みの戦略。

遊ぶところがたくさんできて喜ばしいことなのかもしれないけど、
私個人はなぜかこの動きを素直に喜べない。
どこもかしこも「自然」を生業に、商業まみれの一途を辿っている
違和感が拭えない。

自然と一体化しているように見えて、そこには大きな経済活動が発生して、
たくさんの電気や資源を消費している。
なのに一方で「SDGsだ!」と高らかに謳っている。
ものすごいギャップを感じるのは私だけだろうか。

自然はそもそも地球からいただいた贈り物。
次世代に残していくための財産。

誰もが気軽に楽しめるはずの、様々な生態系と共存していくはずの自然
だったはずなのに、いつからか「商売道具」として自然が利用されては
いないかと訝るようになった。

この動き、都市部周辺ではどんどんと加速していくのではないかと思う。
一方で、気候変動が現実のものとなり、海の魚が乱獲で取れなくなったり、
遺伝子組み換えとかもはや自然ではないのに自然と歌う商品ができたり、
地球という生命体と経済行動のバランスがおかしくなってきている。

今日の新聞では、50年後には日本の人口が9000万人を割るという
深刻なニュース。人口は確実に減っていくのに、新たな大型開発、
大きな経済活動は果たして必要なんだろうか・・・

私達のフィールドとしている地方はまだその大きな波には直面していない
けど、いずれはやってくる問題。
地方においてももちろん経済活動は大切だけど、そこに根付く自然や文化の
環境があってこその話であり、いかに「環境」と「経済」の無理のない
バランスを生み出していくかが、これからの地方にとって大切だと思う。

先日訪れた福岡のパタゴニアショップ。
服は何度か購入したことがあり、創業者のイヴォンさんが個人の財産を
気候変動を改善する活動に寄附するというニュースは知っていた。
スタッフの方とお話をする中でパタゴニアとしての地域での取り組みを
色々と教えてもらったり、農業にも取り組んでいることを知った。

パタゴニアの歴史が詰まった書籍を購入してじっくり読んで、
いかに環境に負荷をかけずに経済活動を続けるのか、
大量消費ではなく一生ものとして消費を減らし長く着続けられる
服を作っていこうという哲学に感動した。

時を同じくして訪れた大分湯布院の熊谷牧場キャンプ場。
ご両親の牧場の財産を受け継いで、リタイアした後にキャンプ場をオープン。
1日1組限定で、由布岳をゆっくりと眺められるゆったりとしたスペース。
経済ばかりに走って所狭しと区画を整備するのではなく、
自分たちのペースでゆっくり迎えたい、利用者にはこの自然と風景を
ゆっくりと味わってもらいたいという、自然を尊重した姿勢に
とても感銘を受けた。

私たちも地方でまちづくりを支援する中で、
ともすれば大型開発や自然のバランスを壊すような経済活動を
誘発することにもなりかねない。

そうならないように、地方の根っこをしっかりと見つめて、
地元の方々と対話し、祖先が残してくれた大切な環境を継承していける
ような取り組みを応援していきたいと思います。

自戒を込めて。

(佐藤 直之)

地域づくりのお仕事をするにあたっては、
まずその土地の歴史や文化を調べることが大切。

特に、地域づくりや観光振興の方向性を左右する
計画づくりや複数年にわたって取り組むプロジェクト
では、ここをきちんと理解していないと頓珍漢な提案に
なってしまう。

その歴史や文化の生き字引とも言える地域の人達から
その土地の歴史や文化の話を聞くことは、
この仕事の何よりの財産。

古代からの歴史や戦国時代の遺構・根付いた文化、
明治以降の近代化の歴史や近代化遺産、能楽、焼き物、
自然や文化的景観、水産業や食文化など、地域独自の
歴史や文化を発見するたびに、
「日本人として自分のルーツをまだまだ知らない」
ことを痛感します。。。

そうした地域を通しての気づき、それに加えて
子供がお城や歴史に興味を持ち始めたことをきっかけに、
最近では歴史の本を読んだり、焼き物を見に行ったり、
能楽を観に行ったりと、日本を学ぶ時間が増えています。

先日は、大濠能楽堂に能楽を観に行きました。
狂言は大衆文化を題材にして言葉もわかりやすいので
入りやすいですが、これまでなかなか距離があった能も
解説を聞いたり、自分で調べたりする中で少しずつ
理解が深まり、観る楽しさが生まれ始めています。

地域との出会いから、日本のルーツを学ぶ。
学んだことを次に繋げていくことが私達世代に課せられた
使命だし、少なからずルーツとしては、その土地の歴史や
文化を継承していけるようなまちづくりに取り組んでいきたい。

(佐藤 直之)

新年度が始まりました。

Rootsを起業してから丸10年が経ちました。
まだまだ先輩方に比べればひよっこの分際ですが、
小さい会社を続けている中でいろんなことがありました。

悔しいこと、喧嘩したこと、裏切られたこと多々ありましたが(笑)、
それ以上に私達のことを見つけてくれて、ご縁をいただいて、
信頼していただいて、少ないながらも長くお付き合いする密な出会い
をいただけたことが本当に嬉しく、だからこそなんとか10年間
やってこれたのかなと思います。

次なる10年をどう歩んでいくか。
がむしゃらにまちづくりの経験を積んできたこれまでの10年を通して、
Rootsとして取り組んでいきたいテーマや方向性が朧げではありますが
見えてきています。

私自身40代半ばに差し掛かり、次の10年で50代に突入することを
考えると、Rootsとしての専門性を深掘りする10年にして参ります。

・体制を少し変えて、外部のパートナーや協力企業との連携を密にしながら、
 「パートナーズ」としての提案力・実行力を強固にしていきます。

・昨年度、土をテーマに唐津の旅行商品を造成したプロジェクトメンバーと
 一緒に、ブランディングをテーマにした会社を唐津市に作ります。

・これまで深いご縁をいただいている地域をフィールドに、
 自治体や地域・事業者の皆さんと一緒になって、
 大切な歴史・自然資源の再生・ブランディングに注力します。

・50代(あと5年)を目標に、旅をテーマに
 Rootsとして大切にしたいことを具体化する事業(もしくは場所)を
 カタチにしていきます。

・アフターコロナだからこそ、より一層ローカルと世界がリアルに繋がる
 グローカルな視点を持って生きていきます。
 
今の時点で決まっていること、妄想です。

今日からは毎年恒例のインプットツアーへ行ってきます。
ずっと行きたかった京都府の伊根町を最初の目的地に、
友人に薦めてもらった久美浜、ずっと行きたかった鳥取の宿坊、
美食の街・岡山へと、愛車に乗っての旅へ。

新年度もどうぞよろしくお願いいたします。

(佐藤 直之)

地域活性化の仕事をしていると、常に「集客」のことが話題に上がる。
確かにお客さんに来てもらって、地域に足を運んでもらうことは
とっても大切なことだけど、でも「集客の質」ってあると思います。

誰でも来てもらうことが正しいとは思いません。
何かのきっかけでその地域のことが好きになったり、
他の地域よりも「あの地域が好き」って言える地域との
コミュニケーションが生まれることはとても素敵ですよね。

でも、何かを無料でもらえるとか、誰か芸能人に会えるとか
いわば「お得感」で来てもらうことは、果たして地域のために
なるんだろうかと常々疑問を抱いています。

その方が手っ取り早いというか、楽なんです。
一時的にはたくさんのお客さんが来てくれて、賑わって、
「おー、上手くいったね」って満足感は得られます。

でも、その「お得感」だけで来た人が果たしてその地域の
ファンになってくれるかというと甚だ疑問が残ります。

観光まちづくりの仕事をしていると、あまりプライベートで
行ったことが無かった地域とご縁が生まれて、
地域の方々とお話しする中で「お!」って気づかなかった
魅力を教えてもらうことが多々あります。

私たちの仕事は言わば地域のことを地域の人から教えてもらって、
一般的なメディアやSNSでは気づかないディープな地域の魅力を
教えてもらって、発掘して、それを具現化するお仕事なんです。

だから、私たちが知り得たそのディープな魅力を、
何かのきっかけで好きになってくれる人たちに伝えたいと思うんです。

少しずつその魅力が伝わることだったり、地域の人たちと触れ合うことで
好きになるきっかけが生まれたり。ゆっくりじっくり、それが本当の意味での
ファンづくりだと感じている一方で、「たくさんの人たちに来てほしい」と
いう「集客」に対する要望が地域から、行政から聞こえてきます。

何年もかけて地道に地元の人たちと話し合って、発掘してきたその価値が、
「集客」という魔法の声で、別の次元に移ってしまう。

もう一度言いますが、「お得感」を出せば楽なんです。
テレビで見たあの芸能人が来る!となると、それはその地域に魅力を感じて
ではなく、もう別の目的になってるんです。
そのイベントは集客的に成功なのかもしれないけど、それまでに積み上げた
地域の魅力の底上げには、また蓋をしてしまうことになります・・・

急がば回れ、そう思うんです。
これまで「集客の量」に惑わされた歯痒い経験のたびに、
とても悔しい思いをしています。

私たちは、決して「集客の量をもたらすプロ」ではありません。
ゆっくりじっくり、長い時間をかけてファンを作っていく地域と
観光まちづくりの仕事をしていきたいと思う今日この頃です。

(佐藤 直之)

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